<一年を振り返って>国体中止の影響(2)競技関係者 選手強化、成果見せられず 競技力維持、次の課題に

【三重国体中止決定後約4カ月ぶりに集まったラグビー少年男子全三重の高校生ら=12月、四日市市内で】

今年9月から10月にかけて開催される予定だった第76回国民大会「三重とこわか国体」で、県は天皇杯(男女総合優勝)、皇后杯(女子総合優勝)獲得を目標に8年前から選手育成に取り組んで来た。同大会は新型コロナウイルスの感染急拡大で中止になり、強化に関わってきた関係者は、成果を披露することなく、競技力維持という次の課題に直面している。


三重国体に参加予定の選手らが積み重ねた練習の成果を発揮する機会にと、県や県内競技団体が10月から順次開催している代替大会。今月11日には県ラグビー協会主催でラグビー少年男子「全三重」の高校生たちが、年末開幕の全国高校ラグビー選手権東京代表の目黒学院とのエキシビションマッチに臨んだ。

4校の合同チームの全三重は三重国体中止と緊急事態宣言の県内発出が重なった8月以来約4カ月ぶりの招集だった。花園優勝経験を持つ目黒学院に3―61の完敗を喫したが、全三重監督の保地直人・朝明高校教諭は「最後に強いチームと試合をしてチャレンジしたかった」と話した。

少年種別県代表の高校生らは、早い選手で小学生のうちから三重国体の代表候補としての育成強化プログラムを受けてきた。国体中止の申し入れが発表された後、グループラインを通じて全三重メンバーに「皆のラグビーは終わらない」と呼びかけた保地教諭。「3年生は進学、就職してもチャレンジする気持ちを忘れず三重に収まらない活躍を。それが後輩らの成長にもつながる」と話し、さらなる成長を期待する。


成年選手の強化には、企業によるアスリート就職支援事業が効果を発揮した。原則終身雇用で県内の移住定住にもつながる試み。平成27年から始まった同事業を通じて県内の企業・団体に就職したアスリートは189人に及び、百五銀行採用の柔道の原沢久喜選手、ヨットの南里研二選手らのような東京オリンピック選手も輩出した。

一連の取り組みは、三重ではあまり盛んでなかった団体競技のクラブチーム強化、新設を促した。目標としてきた地元国体は中止となったが、関係者は既にその先を見据えている。

ソフトボールでは県外から移入した成年男子選手の受け皿として発足した「三重県庁クラブ」の今後を支えるため県ソフトボール協会役員有志らがファンクラブの立ち上げやスポンサーの掘り起こしなどの組織固めに力を注ぐ。

三重国体会場の名張市で活動する県内唯一のホッケーの社会人チーム「三重クラブ」は後継者づくりにも力を入れる。ロンドン五輪女子代表でホッケーどころの島根県奥出雲町出身の津田志穂監督兼選手は名張に移住。「名張を拠点にジュニア育成に力を入れたい。自分としては永住も考えている」と話す。


三重国体の年内中止以上に関係者を落胆させたのが国体の開催延期断念だった。各競技の強化担当者からは「目標がないと成長につながらない」との嘆きが聞かれた。三重とこわか国体・とこわか大会の中止を受けて11月、県のスポーツ推進を図る提言書を一見勝之知事に提出した県スポーツ協会は三巡目を待たない国体の早期開催など大規模スポーツイベント大会の誘致も要望した。大会規模については充分な検討が必要となるが、挫折を乗り越え、新たな一歩を踏み出したアスリートたちの心に寄り添う施策も期待したい。

◆ラグビー全三重の保地監督が選手らに送ったメッセージ

皆さまへ

まだ正式では無いけれど、ついに三重国体の開催が難しくなりました。

みんなとは、2年前の練習会から継続して強化をしてきました。

ラグビースクールに入っていた子は、みんなが小学校3年か4年の時にガーデン水泳場の会議室に集めて、2021年は三重国体があるんやで、頑張ろうな、って話をしたのを覚えています。

コロナがなければ、海外遠征も夢見ていましたが、いろいろと残念なことになりました。

でも、去年から三重県のサポートのおかげでたくさんの活動ができ、今までの先輩たちが経験できなかった遠征や強豪との試合ができました。

中止の判断は受け入れて、すべてのサポート、応援に感謝をしましょう。

今年も、U17やU18、国体もなくなったけど、みんな花園予選に向けて頑張ろうな。

あとみんなのラグビーは、高校では終わりません。通過点です。

これからに生かしていってください。

まずは、みんなの健康と安全を祈っています。

三重国体を目指した仲間の関係はずっと続きます。

大事にしてください。