「1年を振り返って」津市自治会問題 元自治会長逮捕、職員からも 処分は150人超え、副市長は辞職

【自治会問題で陳謝する前葉市長=5月27日、津市役所で】

津市職員が元相生町自治会長(61)に便宜を図っていた問題。昨年立ち上がった市の調査チームや市議会の特別委員会(百条委員会)がこの1年間で、その実態を一定程度明らかにした。元自治会長が詐欺容疑で逮捕されただけでなく、職員からも逮捕者が出た。処分された職員は150人を超え、事務方トップの盆野明弘副市長の辞職にまで至った。今も裁判が続き、市に暗い影を落とす。

市は顧問弁護士による調査チームを昨年12月に設置。今年5月20日までに職員延べ293人から聞き取り、自治会のごみ箱や掲示板への補助金、相生会館の修繕工事など20件について調査。調査チームは5月27日に最終報告書を提出した。

最終報告書では、元自治会長からの過度な要求に応じる職員や丸刈り、土下座で謝罪する職員、元自治会長の知人女性が経営する飲食店に通う幹部職員の姿が明らかに。「元自治会長に自らすり寄った職員の存在が問題に影響を与え深刻化させた」としている。

市の調査と並行して警察の捜査も進んだ。市が2月5日付で元自治会長らを刑事告訴。その結果、市の補助金をだまし取ったとして元自治会長や元人権担当理事の職員(67)らが詐欺罪で起訴され、元自治会長は懲役3年・執行猶予5年の判決が確定した。

市は「だまし取られた」とする補助金などの回収にも着手。元自治会長から返還されたのは遅延損害金を含め約1200万円で、刑事裁判に関わる補助金が中心。資源物の持ち去りを防ぐパトロールの委託料など計約3200万円は返還されず、訴訟に発展した。

さらに市は、この問題に関与した職員155人を10月13日付で処分した。一度に処分した職員数としては平成18年の合併以降で最多。懲戒処分は64人で、うち11人が減給、53人が戒告だった。盆野副市長は辞表を提出し、12月末で辞職する。

また、市議会も昨年12月に百条委を立ち上げ、問題に関与した議員や職員を市と異なる立場で追及。前葉泰幸市長らが元自治会長の知人女性にプレゼントを贈っていたことなど、ときには市の調査チームが把握していなかった問題も明らかにした。

百条委も10月に報告書をまとめた。報告書では元自治会長に職員が謝罪する場に一部の議員が同席したことで無言の圧力となったことなどを指摘。「多くの議員が関与していたことは誠に遺憾であり、執行部だけでなく議会の信用も失墜した」としている。

問題に関与したとされる議員への辞職勧告決議案も提出し、うち1議員の辞職勧告決議案を賛成多数で可決。辞職勧告を受けた議員は今のところ辞職していないが、関与した議員への審判は年明けの市議選(定数34)で有権者が下すことになる。

一方、処分を受けていないのは前葉市長。「いろいろな報告が上がってこない状況を作っていたことに責任がある」として、あくまでも問題を把握していなかったという姿勢を貫く。7―8月の給与2カ月分計226万円を返上することで責任を取った形だ。

市役所と市議会の信頼を揺るがした自治会問題。一定程度明らかになったものの、調査は現役の職員への聞き取りにとどまるなど不十分な点も見られた。市は12月定例会に不当要求への対応方針を定めた「公正公平な市政の確保に関する条例案」を提出。盆野副市長の後任も年内には決まる見通し。年明けとともに新たな船出を迎える市は失った信頼を取り戻すことができるのか。