久居瓦題材に作品制作 現代美術家の大野さん、地域の人らと 三重・津

【地域の人らと制作する大野さん(右端)=津市久居東鷹跡町の久居アルスプラザで】

【津】三重県津市久居地区で江戸時代から昭和にかけ盛んに生産された「久居瓦」を題材にした作品制作が、津市久居東鷹跡町の久居アルスプラザで進んでいる。公募で選ばれた神戸市出身の現代美術作家、大野由美子さん(39)が約1カ月かけて完成させる取り組みで、制作には地域の人が参加している。

県外の芸術家が一定期間滞在し地域と協働で作品を作ることで新たな価値観に出会う場をつくる同施設の公募企画「HISAI芸術家の住む町プロジェクト」。大野さんは京都精華大学芸術学部を卒業後チェコ共和国とロシアの美術大学の大学院を修了し現在は主に日本と米国で活動しており久居瓦を題材にした作品プランで同企画に採択された。

制作は同施設のアトリエで先月29日に開始。瓦の木型に板状の粘土を押して成形する作業で、地域の子どもから大人まで毎日2―5人が参加しこれまでに1050枚を作った。参加した川村佳代子さん(73)は「難しいけど楽しい。ここで生まれて瓦屋さんが多くあった記憶がある」と話す。

大野さんは世界各国で滞在型の制作をしているが地域の人が制作に加わるのは初めて。当初瓦は一種類の予定だったが地元の人から久居地区の民家に邪気をはらう目的の瓦鍾馗が多く残ることを聞き、目、ひげ、刀などをイメージした瓦の木型を加えた。

今後は地元の土でコーティングして焼成し出来上がった瓦を立体空間に仕立て来年1月12―23日に披露する予定で「交流が数珠つなぎで広がり刺激を受けている。この土地に来た意味を作品に盛り込みたい」と意欲を見せている。

同施設によると作業は26日までの午前10時―午後8時(火曜は休館)。日時は制作状況により変更となる場合がある。また粘土の削り端を有効活用するため同施設で受け取り可能な希望者に無料で進呈する。申し込み・問い合わせは同施設=電話059(253)4161=へ。