<1年を振り返って>松阪市の大学誘致 高校生の半分「関心あり」

【「松阪市に設置される大学に対する進学意向」を質問した同市大学誘致基礎調査】

三重県内に大学が少ないため高校卒業後は県外の大学に進学し、そのまま県外で就職しがち。竹上真人松阪市長は人口減少著しい南三重にこそ若者を引き留める大学が必要と訴えた。鈴木英敬前知事は県立大設置の是非を検討すると表明し、続く一見勝之知事も方針を踏襲。市と県の調査では高校生の半分が関心ありと答えた。

県内には7大学あり、四日市、鈴鹿、津の3市に各2校と伊勢市に1校。松阪市が誘致し昭和57年に開校した三重中京大(当初は松阪大)は定員割れが続き平成25年に閉校している。

竹上市長は平成27年の市長選で大学誘致を公約に掲げ初当選。同28年に県が全国の私立大を対象に実施した調査では、県内へ立地を検討する大学はなかった。竹上市長は公立大を模索し、昨年8月の知事との公開対談で県立大の新設を提起し、「地元で学んでいけば、おのずと地元に定着してくれる。それなりの負担を覚悟している」と求めた。

当時の鈴木知事は「ざくっと県内の高校生は8千人が4年制大学へ進学し、うち県内の大学は2割、8割が県外。県内の大学定員は3200人分しかない」「魅力ある大学が県内にできることは進学の選択肢が増え、地元就職に効果が高い」と賛成。翌9月の県議会で「県立大設置の是非の検討に着手したい」と表明した。

県内の高校を卒業した大学進学者に対する県内大学入学者数の比率は令和2年度が47・8%で、和歌山県の47・1%に次いで全国2番目に低い。

今年9月12日に初当選した一見知事は10月6日、県議会で所信表明に臨み、「転出超過数の約8割を若者が占めていることから、若者の県内定着は重要かつ喫緊の課題」「県内高校卒業生の学びの選択肢の拡大につながり、県内産業の人材確保にも資する県立大の設置について検討を進める」と前県政を踏襲した。

■   ■

同市は3月17日、大学誘致基礎調査の結果を報告した。対象は県中南部の31高校の2年生1950人。同市に設置される大学に「進学したい」は10%で、「進学するか検討したい」を含めると55%。進学意向者と最も相関が高い因子は「交通の便が良い」「就職に有利である」と分析している。

県も10月25日、県立大需要調査の結果を公表した。対象は県内の高校2年生とその保護者計約3万2千人。78%が回答した。県内の新設公立大を進学先の候補として「考える」生徒は49%。一方、「考えない」が49%で並んだ。理由の最多はそれぞれ「自宅から通える」61%、「他に志望する進学先がある」65%。

ただ保護者は「考える」が82%と高く、理由最多は「学費が安いイメージがある」の68%。

戦略企画部は「県立大に対する生徒の考えは¥ルビ(拮抗,きっこう)しているが、候補として考えると回答した実数は4千人を超えている」「ニーズは一定ある」と評価した。

両調査は設問が「松阪市に設置される大学」と「県内に公立大が新設」で異なるが、高校生の半分を引き付ける傾向はつかめる。

県は6月に設置した有識者会議の議論を踏まえ、年度内に設置の必要性に一定の考えを示す方針。「設置の意義がある」と判断すれば大学の具体像などを検討し、令和4年度末にも設置の可否を決めるという。

■   ■

県立大設置の是非を検討するよう指示した鈴木前知事は今や南三重選出の衆院議員。

総選挙を経て、竹上市長は「南三重に大学を設置してほしいと当時の知事に申し上げた。味方が一人増えた」と話している。