対中戦略の展望語る 同志社大の兼原特別客員教授 本紙政経懇話会 三重

【講演する兼原氏=津市大門の津市センターパレスで】

【津】伊勢新聞政経懇話会12月例会が7日夜、三重県津市大門の津市センターパレスであった。兼原信克・同志社大学特別客員教授が「米中関係と日本の針路」と題して講演し、「拡張主義の中国に戦争させないため、日米が構えていないといけない」と国家戦略を語った。一見勝之知事らが出席した。

兼原氏は安倍政権で内閣官房副長官補(外政担当)を務め、新設の国家安全保障局次長を兼務した。「官邸外交」の理論的主柱として知られる。

兼原氏は講演で尖閣諸島問題に触れ、「海保巡視船は軽くて速いアルミだが、中国のそれは弾をはじく鋼鉄で軍艦。ルール違反を平気でやっている」と中国の拡張主義を指弾。「漁船衝突事件時の巡視船は海保50隻、中国40隻で、力負けしなかった。今のところ互角。海上保安庁次長を務めた一見知事のご尽力が大変大きかった」と話した。

一方、中国内政を巡り「下から意見を吸い上げる仕組みがないと、どうしても国民がまとまらない。共産主義イデオロギーはなく、漢民族ナショナリズムが少数民族をいじめている」「ソ連人やユーゴスラビア人の形成はみんな失敗した。中国人は多分生まれない。異民族のモンゴルやウイグル、チベットがいて、放っておくとバラバラになる。先行きは非常に暗い」と見通した。

対中戦略について「安倍総理が提唱した『自由で開かれたインド太平洋』が当たった理由は、すごい勢いの中国にバランスできる国はインドしかないから。米印中でバランスが少し取れるのではないか」と展望した。

また「科学が安全保障の基盤。アメリカの国防省予算は10兆円あり、自由に研究してもらい、ベンチャーにお金を出している。出てきた技術を利用する。モデルナはこうしてできた」「アイデアは1000あって採用は3つで構わない。政府がする安全保障政策だからマーケットに関係ない。日本にこの仕組みがないから負ける」と警鐘を鳴らした。