2021年12月8日(水)

▼父が「晴れ男」だと知ったのは死んだ後だった。葬儀も49日も、低気圧で雨模様の中で法要の時だけは薄日が差した。生前「晴れ男」と言われた理由を死後思い知ったわけだが、思えば子どもの頃、夏休みによく長期旅行をしたが、雨に降られた記憶がない

▼非科学的であることはむろんだが、今となってはその「事実」を否定しない。「怪異」の存在を信じることはできないが、と物理学者の寺田寅彦も言う。それらに遭遇した人々の「人事的現象」としての「事実」を否定するものではない、と

▼血液型による性格診断も非科学的とされるが、赤血球の表面にあるタンパク質の配列が異なるのは事実。錯誤や誇張も含め気象状況などの多数の因子を分析しなければ科学的結論を出すのは不可能で、それは困難という寺田の『怪異考』以上に、決めつけはできまい

▼血液型の性格診断が統計データと結びつくと、疫学的に信ぴょう性は増す。田中智也県議が議会で、一見勝之知事のネクタイによって性格を「占った」。本紙『記者席』によると、知事は「目立とうとする」と弟から言われたこと、ネクタイのストライプ模様について、体験談を長々と語り、「自己主張が強い」という診断を裏付けたという

▼前知事は日常はノーネクタイで節目の時はネクタイを、それも原色を好んだ。周囲の話を聞き、それで豹変(ひょうへん)することも珍しくなかったが、特定候補の応援に立ったり、任期全うを繰り返しながら国会に転出。初心を貫いた。知事という職業は大なり小なり「自己主張が強い」性格の人間の集まりなのかもしれない。