三重県議会一般質問 リニア亀山駅位置候補 県が集客効果を調査

三重県議会11月定例月会議は2日、藤田宜三(新政みえ、4期、鈴鹿市選出)、石田成生(自民党、3期、四日市市)、長田隆尚(草莽、4期、亀山市)、山本里香(共産党、2期、四日市市)、山内道明(公明党、2期、同市)の5議員が一般質問した。県当局は長田議員への答弁で、亀山市がリニア中央新幹線の駅位置として示した候補地案のアクセス性や集客効果などを調査し、早ければ来年2月にも調査結果をまとめる考えを示した。

■鈴鹿亀山道の早期整備を ― 藤田 宜三議員(新政みえ)

新名神高速道路の亀山ジャンクション(JCT)と鈴鹿市中心部をつなぐ鈴鹿亀山道路について、産業振興などの観点から早期整備を要望。県当局は国に技術や予算の支援を求める考えを示した。

【農業振興】
藤田議員 県が県内の認定農業者を対象に実施したアンケートでは、所得が200万円以下の農業者が全体の約半数を占める。500万円以下と合わせると7割を超える。農業の継続には所得が必要。農業に対する知事の思いは。

知事 県内の農業は多くの食材を私たちに届けてくれている。多くの人に県内を訪れてもらい、県の魅力を売り込む意味でも大事。地域に活力を生み出し、絆を培うという意味もある。農家に育った者として、農業の活性化に向けた取り組みを進めたい。

【鈴鹿亀山道路】
藤田議員 鈴鹿亀山道路は事業化の目前で、多くの市民が待ち望んでいる。産業にとっても大きなプラスとなる。亀山市内にできるリニア中央新幹線の駅に行く上でも重要な道路になると思う。事業化に向けた進捗(しんちょく)状況は。

水野県土整備部長 2月に都市計画決定し、国交省の5カ年プログラムや新広域道路交通計画にも位置付けている。JCTの接続部分には高度な技術を要することから、国に技術や予算の支援を要望している。県管理道路として早期に実現させたい。

■県の適正な人口の水準は ― 石田 成生議員(自民党)

県の人口について「多ければ多い方が良いというわけではない」とし、適正な人口の水準を尋ねた。一見知事は人口減を「脅威」と表現して対策への決意を表明しつつ、適正な人口の水準には言及しなかった。

【人口減対策】
石田議員 知事は「人口の社会減対策を強力に進める必要がある」とおっしゃるが、転出超過や転入超過をどれぐらいにすれば目標達成なのか。県の適正人口を何人とするのか。実は県の人口には適正な水準があるのではと思う。

知事 人口減は国や地域にとって静かな脅威。経済力を削り、発展を困難にする。減少の速度を緩めるために、あらゆる手だてを取らなければならない。雇用の確保や特色を生かした振興、ネットワークの整備、子育ての環境整備なども必要だと考える。

【新しい資本主義】
石田議員 岸田総理が掲げている「新しい日本型資本主義」と「地方が主役」について、知事は10月の所信表明で「真の意味で地方が主役となるよう、新総理のリーダーシップに期待する」と述べたが、どう受け止めているのか。

知事 「新しい日本型資本主義」は、宏池会を率いる岸田総理らしいと思う。経済成長と分配の好循環で持続的発展を目指す姿は今の日本に必要。「地方が主役」にも共感する。総理のリーダーシップに期待しつつ、県も成長に向かって進めたい。

■デジタル技術、課題解決 ― 長田 隆尚議員(草莽)

既に使えなくなっている相談窓口のQRコードが県のホームページに掲載され続けていたと指摘し、デジタル技術に関する各部局の課題解決に取り組むよう要請。デジタル社会推進局は各部局への助言や支援に当たると説明した。

【リニア駅】
長田議員 リニア中央新幹線の県内駅候補地に関する亀山市からの提案について、県では専門家による分析を進めているというが、どのように分析しているのか。市町や経済団体などとの意見交換を含めた今後のスケジュールは。

山口地域連携部長 各分野の有識者らに調査を依頼し、交通行動の変化や駅周辺の土地利用、集客効果、アクセス性、災害リスクなどの分析や評価してもらっている。早ければ来年2月にも調査結果をまとめ、市町や関係団体を集めた報告会を開催する。

【デジタル】
長田議員 ある人がQRコードを読み込んで県のライン相談窓口を使ったが、返信がなかった。実は県が相談窓口を一新し、古い相談窓口を移行させるなどの対応をしていなかった。デジタル技術を活用した情報発信にどう取り組むのか。

三宅デジタル社会推進局長 指摘いただいたラインの課題については未然に防止できるよう、各部局を支援する。デジタル技術を活用した業務改善や職員研修の充実などを通じ、生産性の向上と正確性の確保を両立させた県民サービスの向上につなげる。

■リニア、環境・安全に懸念 ― 山本 里香議員(共産党)

リニア中央新幹線について環境への影響や安全性への懸念を示し、知事の認識を尋ねた。一見知事は鉄道局勤務時代の経験を踏まえて環境影響の低さや安全性の高さを強調。「県の発展に欠かせない重要な社会基盤」と述べた。

【リニア】
山本議員 リニアの工事総額が増え、単独では採算が取れないという元社長の発言もある。生態系の破壊や景観への影響も懸念される。残土も東京ドーム46杯分と言われている。運行後の事故に不安もある。知事の考えは。

知事 リニアは新幹線の開通前から養ってきた技術で、世界が注目している。化石燃料の依存度は低い。県の費用負担はない。鉄道局勤務時代に試乗したが、安全性も確保されている。県の発展に欠かせない重要な社会基盤。一日も早い開通に向けて協力したい。

【鈴鹿青少年の森】
山本議員 県が鈴鹿市に一部を無償で貸している都市公園「鈴鹿青少年の森」にサッカースタジアムが建設される。運営会社は説明会で「未利用地」と話したというが、その認識で良いのか。設置許可期間終了後の原状回復の責任は。

真弓県土整備部理事 鈴鹿青少年の森には未利用地はないと認識し、その旨を市を通じて運営事業者に伝えた。設置や運営の期間は許可から10年間としているが、その後も10年ごとに更新できる。更新しない場合は許可条件に基づき、鈴鹿市が原状回復する。

■不法投棄、ICT活用を ― 山内 道明議員(公明党)

不法投棄の早期発見にICT(情報通信技術)を活用する必要性を強調。県当局は県民から情報提供を受けやすくするため、本年度から位置情報や写真の添付が可能な通報システムの試験運用を始めたことを明らかにした。

【不法投棄】
山内議員 県は不法投棄の処理で莫大な予算を投じて行政代執行を実施しているが、現在でも不法投棄は後を絶たない。発生件数は横ばいで、建設系の廃棄物が多くを占める。早期発見と指導が大切。どう取り組むか。

増田廃棄物対策局長 遠隔操作が可能なカメラやドローンを活用している。現地ではタブレット端末で指導対象者の情報を確認できる。県民からの情報提供を充実させるため、本年度から位置情報や写真の添付が可能な通報システムの試験運用を進めている。

【2次被害防止】
山内議員 犯罪被害者に対する一層の支援が必要。特に2次被害は避けなければならないが、支援の関係者が2次被害を発生させてしまう可能性もあり、最大限の注意が必要。2次被害を発生させないため、県警はどうしていくのか。

佐野県警本部長 県警では被害者支援要員を配置して、捜査に傾注しがちな警察官の中で被害者支援の中心を担っている。また、捜査の担当と被害者支援の担当が連携できるよう、研修にも力を入れている。被害者にしんから寄り添えるよう努力したい。

<記者席 ― スマート議会先取り

○…石田議員はタブレット端末を手に登壇。持ち込みが可能となった議場でも質問で使う議員は珍しく、スマート議会を先取りした格好だ。

○…一方、端末を少し見にくそうにする姿を横目に「自分が使えと言われたら難しいかな」と同僚議員。「老眼対策」にも最新技術の活用を。

○…山本議員は「目覚めたら悪夢ということもある」と切り出し、環境破壊や事故リスクなどの観点からリニア中央新幹線の整備に懸念を示した。

○…ところが、一見知事が「私も心配性」と同調しつつ必要性を語ると「うなずいてしまう。前知事とえらく違う」。リニア賛成に転じる日も近いか。