新スナックカーがラストラン、近鉄特急、半世紀 ファン惜別

【12200系の最後の姿を見送る鉄道ファンら=志摩市の近鉄賢島駅で】

【志摩】「新スナックカー」の愛称で半世紀以上にわたり親しまれた近鉄特急列車「12200系」が20日、ラストランを迎えた。三重県志摩市阿児町神明の近鉄賢島駅では乗客を含め約400人のファンが訪れ、名残惜しげに別れを告げた。

12200系は大阪万博開催を機に昭和44年から8年間にわたり製造され、近鉄特急車両としては最多となる168両が製造された。近鉄車両を象徴するオレンジと紺色のツートンカラーが特徴で、大阪や名古屋、伊勢志摩を結ぶ観光と通勤網の要として、高度成長期から現在を支えた。

愛称の由来となった軽飲食が楽しめる「スナックコーナー」や、電子レンジや洋式トイレの設置、当時としては珍しいリクライニングシートの採用など、昭和39年に開通した東海道新幹線の「速さ」に対抗して「快適性」を追及した。伊勢神宮を参拝する皇族も利用する貴賓列車としても知られ、昭和50年5月にはイギリスのエリザベス女王も乗車している。

新型車両の導入に伴い2月に定期運行を終了。イベントや臨時特急としての運行を経て8月にラストランを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていた。

名古屋を午前9時半過ぎに出発した車両は午前11時50分ごろ、賢島駅ホームに入線。乗員への花束贈呈を経て、午後0時40分ごろ、片岡賢二鳥羽駅長の合図で同駅を後にした。ホームでは多くの鉄道ファンが写真を撮るなどして別れを惜しんでいた。

父親の敏也さん(58)と滋賀県大津市から、手作りのメッセージボードと共に見送りに来た小学校6年の八田裕介君(12)は「色と方向幕が好き。寂しいけどありがとうと伝えたい。将来は列車の運転士になりたい」と話していた。

約30年にわたり車両整備を担当していた同社名古屋統括部運輸部車両課の中村浩さん(58)は「故障も少なく技術者として手入れしやすい車両だった。本当にお疲れ様でしたと声をかけたい」とねぎらっていた。