
三重県の一見勝之知事は19日の定例記者会見で、環境保全に特化した資金を調達するための債券「みえグリーンボンド」を来年2月に発行すると発表した。満期10年で50億円分を発行する。また、一見知事は来年度以降もグリーンボンドの発行を続ける考えを示した。
県によると、グリーンボンドは企業や自治体が環境保全関連の事業に充てる資金を金融市場から調達するための債券。SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが広がる中で、投資家の注目を集めている。
県は4月の脱炭素社会推進本部会議で、環境保全に関連する予算の安定的な確保や脱炭素の機運向上などを目的に、グリーンボンドの発行を決定。資金の使途や発行額などについて検討を進めていた。
県はグリーンボンドで調達した資金をエコカーの購入や信号機のLED化、藻場の造成、林道の整備といった事業に充てる方針。沿岸部や山間部の災害対策などに使うことも予定しているという。
グリーンボンドを発行する都道府県としては全国で4例目だが、東海3県では初めて。東京都は平成29年度からの累積で800億円を発行。長野、神奈川両県も、それぞれ150億円を発行している。
県は証券会社を通じて投資家にグリーンボンドの購入を呼び掛ける方針。利率は金融市場で決まるため県が独自に設定することはできないが、本年度分は通常の県債と同程度の利率になると見込んでいる。
一見知事は「環境意識の高い人に購入してもらいたい。利率は将来的に通常の県債より低くなると良いと思っている」とし、発行分の返済に向けては「返済に支障がないよう計画を作っていく」と語った。
また、一見知事は会見冒頭、財政課が財政調整基金への積み立てに関する事務を失念していた問題について「県民の税金を預かる立場として申し訳なく思う。事務処理の確認や対応を指示した」と述べた。