2021年11月7日(日)

▼ある日、市長室に報告に来た建設部長、そして都市計画部次長を見たら、丸刈りになっていた。さて、市長はどんな反応を―。津市の前葉泰幸市長の場合、特定自治会長問題を審議した議会百条委で大要こう答えている

▼「職員の容姿について、理由を尋ねたりすることは一切しないよう厳に自分を慎み、戒めている。(二人が)髪形を変えた理由について確認しなかった」。君子危うきに近寄らずなどとは言わない。こういう見事な答弁をする上司を前にしては、部下は何事もお見通し、あるいは何を言っても無駄と考えるか、どちらかに違いない

▼元自治会長に市職員が便宜を図っていた問題に絡めて、前葉市長が人権担当理事の廃止を決めたという。事務処理の現場は「何も知らなかった」が、元自治会長と逮捕された初代人権担当理事が時代劇で言う〝悪代官〟と〝御用商人〟で、それに従わざるを得ない〝民百姓〟みたいなストーリーの顧問弁護士らの調査報告に基づき、枝葉を刈り取る決断をしたとみえる

▼歴代理事が逮捕、懲戒処分を受けているのに、市の調査や議会の百条委でも、人権施策が正面から取り上げられることはなかった。市の調査は元理事が深く関与したと報告したのを受けて、前葉市長は確認したが「その事実はなかった」と百条委で答えている

▼問題なのは人権施策か属人的なことか。あいまいのまま自治会の窓口だったとされる人権担当理事が廃止される。今後の人権体制は来年4月の人事までに明らかにするということか。今は逃げるが勝ちか。角を矯めて牛を殺すことにならねば幸い。