<衆院選みえ・攻防の裏側>共産党 候補者数が過去最少 野党共闘は様変わり

【県委員会の事務所で「支持拡大」にいそしむ大嶽委員長=津市桜橋1丁目で】

近年の国政選挙では珍しくなくなった共産党の候補者擁立見送り。今回の衆院選も例に漏れず、三重県内で独自候補を擁立したのは4区だけ。県内の小選挙区で擁立した候補者数としては、過去最少だ。

独自候補を立てる野党が少ない県内では、共産の擁立見送りが野党共闘の肝だ。記憶に新しいのは、野党統一候補が当選した平成28年の参院選三重選挙区。共産の候補者取り下げが功を奏したとされる。

ただ、今回の野党共闘を巡る状況は様変わりした。これまでは共産の県委員会が安保法制反対などを盛り込んだ協定を候補者側と間接的に交わしたが、今回はなし。県内野党間の協議も実現しなかった。

野党候補に対する支援の様子も一変した。共産の支持者らが他党の候補者を応援する光景が、今回は見当たらない。積極的に野党候補の街頭演説に駆け付けた共産の県委員長、大嶽隆司(60)の姿もない。

聞けば、今回は直接の支援を控えているのだという。「候補者側から要請してくれれば、いつでも応援に行くのに」。選挙になると人一倍に熱くなる大嶽だが、いささか気落ちした表情で語った。

背景にあるのは、候補者への配慮。共産の関係者が野党候補に近づけば国民民主党や連合三重が離れてしまう、との見立てからだ。「支援の要請がない理由も自分なりに理解している」という。

代わりにいそしむのは党内への浸透。独自候補がいない選挙区では立憲民主党の候補者に投票するよう呼び掛ける手札を共産の後援会員らに配る。「立憲の陣営もこんなことをしてるなんて知らないだろう」

そもそも候補者取り下げは、共産にとって「極めて重い判断」という。近年の国政選挙では取り下げが当たり前のように語られるが、かつて共産にとっては全選挙区での候補者擁立が至上命令だったほどだ。

大嶽も過去に一度だけ国政選挙に出馬したことがある。平成15年の衆院選旧三重1区。公示前から「落選必至」で結果も大敗だったが、大嶽は「選挙で負けるより擁立を見送る方がつらい」と語る。

それでも条件なしで候補者を取り下げることにメリットはあるのか。大嶽に尋ねると、こう返ってきた。「無条件の取り下げではありませんよ。絶対に当選して政治を変えてもらうことが条件です」(敬称略)