昔の製法守り続ける 伊勢の二軒茶屋餅角屋本店 みそとしょう醸造 三重

【長年使い込まれた杉桶が並ぶ味噌蔵=伊勢市神久で】

【伊勢】三重県伊勢市にある1575年創業の老舗「二軒茶屋餅角屋本店」。名物の二軒茶屋餅や、1997年に立ち上げたクラフトビール部門「伊勢角屋麦酒」で注目を集める一方、みそ・しょうゆ醸造業で、今では珍しい木おけで仕込む昔ながらの製法を守り続けている。

みそとしょうゆの醸造は、1923(大正12)年、18代目鈴木藤吉が始めた。同年に建てられた築約百年のみそ蔵で、長年使い込まれたスギのおけと道具を丁寧に使いながら、今も手作業で醸造を続ける。

現在は、同社会長の20代目鈴木宗一郎さん(90)が醸造を管理。豆みそづくりは、ダイズを鉄釜で蒸した後、木箱に広げてこうじ菌を付け、温かい「室(むろ)」の中へ。手でかき混ぜる「手入れ」をしながらこうじ菌を育て、おけに仕込む。蔵に温度調整の設備はなく、自然の外気温を利用した天然醸造で、ゆっくり2、3年かけて熟成させ、ようやく出来上がる。

同社営業部長の松岡嘉広さんによると、おけや蔵に住み着いている酵母や外から入る野生酵母により「個性的でクセの強いみそができる。おけによっても微妙に風味が異なる」という。木おけで仕込みを続ける醸造所は数少なく、同社も現在あるおけ15個でつくるのみ。生産量が限られるため、直営店での販売がほとんどだという。

「百年続く伝統の製法を守っていきたい。この醸造の経験が、今のビール醸造につながってます」と話していた。

蔵の見学は随時受け付け。問い合わせは同店=電話0596(23)2880=へ。