<紀北町長選・町政の課題>防災対策強化を 要援護者の補助人材不足

【津波の際の避難先の1つ、中州地区津波避難タワー=紀北町東長島で】

【北牟婁郡】任期満了(11月12日)に伴う三重県の紀北町長選が、26日に告示される。4選を目指す現職の尾上壽一氏(67)と、現市議で新人の宮地忍氏(69)の2人が立候補を表明しており、平成25年の町長選以来8年ぶりの選挙戦となる見込み。

両氏が共通して町政の課題の一つに挙げるのは、近年大型化が進む台風や、南海トラフ地震などに備えた「防災対策の強化」だ。町危機管理課では、防災対策の課題の一つとして、要援護者の避難を補助する人材の不足解消を指摘する。

同町は年間降雨量が多い。今年9月26日には、午前6時36分―午前7時36分の1時間に、降雨量が同町観測史上最大となる96ミリを記録。町内ではのり面の一部が崩れるなどの被害が出た。町では台風の接近など大雨が予想される際には、人的被害を防ぐため早めの避難が呼び掛けられる。

突然やってくる地震に比べ、風水害は予測できるため、避難訓練などの対策が行き届いていれば人的被害は最小限に抑えることが可能だ。同町の避難訓練は例年9月に実施していたが、住民の参加率は3割未満だったという。その上、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同町では本年度までの2年連続で避難訓練の中止を余儀なくされた。町民の避難能力が不明瞭で、同課からは心配の声が上がっている。

これまでの避難訓練で判明したのは、津波被害を防ぐため高台に設置されている避難所への移動に補助を必要とする独居老人や障害者が存在し、補助する人材が不足しているということだ。

同課は福祉保健課や民生委員らと協力し、避難時に補助が必要な住民をリストアップした。自家用車やタクシー、リヤカーを利用するなど、少ない人数で多くの要援護者の避難を補助する方法を模索している。

同町の防災計画によると、南海トラフ地震が発生した際、町内ほとんどの地域では地震発生から10分程度で津波が到達すると予測されている。危機管理課は、要援護者が短時間で避難する方法を確立し、それを遂行する訓練が必要だとする。

現在、同町では大雨による土砂災害を防ぐため、幹線道路沿いの斜面を舗装するなど、ハード面の災害対策が進んでいる。ソフト面では、県の定める内容に沿った防災タイムラインが用意され、災害時にはタイムラインなどを基に避難情報を伝えたり、避難所を運営する。

災害対策の推進について、尾上町長は「新しい生活様式に合わせた避難所の運営方法を検討する」、宮地氏は「車を使って避難するために、避難路の整備や訓練に努める」と話している。次期町長には、町職員らと一体となった災害対策が求められる。