三重県議会一般質問 学校の性被害を早期発見 対応マニュアル策定へ

三重県議会9月定例月会議は19日、中瀬古初美(新政みえ、2期、松阪市選出)、野村保夫(自民党、2期、鳥羽市)、小島智子(新政みえ、3期、桑名市・桑名郡)、野口正(自民党、2期、松阪市)の4議員が一般質問した。県は学校現場での性被害に関する対応マニュアルを策定する方針を示した。被害の早期発見や適切な初期対応などをまとめる。小島議員への答弁で明らかにした。

■風力施設への対応を ― 中瀬古 初美議員(新政みえ)

国が環境影響評価の対象となる風力発電施設の要件を緩和することへの対応として、これまでの要件を条例改正によって担保するよう要請。県は有識者の意見を踏まえて対応を検討する考えを示した。

【要件緩和】
中瀬古議員 環境影響評価の重要性は高まっていくと考えられるが、国は施行令を改正して環境影響評価の対象となる風力発電施設の規模要件を緩和することを決めた。要件緩和で対象外となる施設への環境影響評価を条例で担保すべき。

岡村環境生活部長 要件緩和によって再生可能エネルギーの導入促進が期待される一方、経産省と環境省の検討会は対象外となる風力発電所への適切な評価を担保するよう指摘した。有識者の意見を聞きながら、条例で定める対象事業をどう見直すか検討する。

【地域分断】
中瀬古議員 松阪市内で計画中の蓮(はちす)ウインドファームに、県は「中止か抜本的見直しが必要」とする知事意見を出した。自然環境や土砂崩れなどを懸念する声も多い。賛成と反対で地域が分断されることが危惧されるが、県の課題認識は。

岡村部長 事業者の情報提供や住民との対話が不十分で、地元の理解を得ないまま事業が進む懸念が全国的にある。県は事業者に丁寧な対応を促してきた。できるだけ早い段階で事業を説明するよう徹底させ、地域からの信頼が確保されるよう取り組む。

■離島振興へ支援策は ― 野村 保夫議員(自民党)

離島の人口減少や高齢化を危惧し、県の認識と対策を尋ねた。南部地域活性化局は「非常に魅力あふれる地域」としつつ、生活面で課題があると指摘。移動手段の支援や観光地としての魅力発信に努める考えを示した。

【学習端末】
野村議員 黒板とチョークで授業をしていた教育現場にタブレット端末というデジタルの大波が押し寄せたが、先生によって活用のスキルが違う。授業の進捗(しんちょく)や理解度が変わるようであれば問題。平準化させる必要がある。

木平教育長 昨年度は端末の基本操作や授業での活用方法を学ぶ研修に1018人の教員が受講した。本年度はスキルを高めたり、優良事例を学んだりする研修を実施している。全ての教員が学習端末を効果的に使えるよう、今後も実践的な研修を実施していく。

【離島振興】
野村議員 鳥羽市にある4つの離島では、この12年間で人口が約1400人減少し、高齢化率は10・8%も進んだ。背景にあるのは生活の不便さ。若者が出て行き活気がなくなる悪循環が続いている。県の認識と支援の方法は。

横田南部地域活性化局長 風光明媚(めいび)な景色や海の幸に恵まれ、独自の文化も息づくが、生活面の課題が大きく、人口減少と高齢化も急速に進んでいる。交通手段への財政支援やオンラインによるグループ診療を継続している。観光地としての魅力も発信していく。

■子育て女性の応援を ― 小島 智子議員(新政みえ)

子育てをしながら働く女性と子どものいない女性の賃金格差を示す学術用語として「子育て罰」を紹介し、子育て支援を掲げる一見知事の決意を尋ねた。一見知事は子どもの学習支援や居場所づくりに取り組む考えを示した。

【子育て支援】
小島議員 コロナ禍で女性が厳しい状況にある。子どもがいるという理由で働けなくなるのなら「子育て罰」でなければ何なのか。学校の休校が母親の就業にも悪影響を及ぼしている可能性がある。子育て中の女性を応援してほしい。

知事 「子育て罰」は悲しい言葉だと思うが、目を背けてはならない。子育て中の母親が罰を与えられていると感じるのは論外。子育てに関する全ての相談・支援が切れ目なく受けられる環境作りや、貧困対策としての学習支援、居場所づくりを進める。

【性暴力】
小島議員 学校は性被害の専門的知見を持っているわけではない。最も対応に苦慮するケースを念頭に、学校での性被害対応マニュアルを作り、ちゅうちょなく対応できる体制を整えて備えておくべき。

岡村環境生活部長 被害者と加害者が同じ学校の児童生徒の場合もあり、学校だけでなく、さまざまな関係機関が役割分担しながら連携して支援しなければならない。被害対応マニュアルなど、共通の指針の作成が重要と考える。早期に発見して適切な対応をしたい。

■非正規雇用の対応は ― 野口 正議員(自民党)

コロナ禍で非正規雇用労働者の現状をどのように把握しているか質問。県は8日時点の国の調査で、解雇される見込みの県内労働者は昨年5月からの累計で約1200人で、このうち半数を非正規と推定していると明らかにした。

【非正規雇用】
野口議員 非正規雇用労働者がコロナ禍で解雇される場合がある。企業にとっては仕方がないかもしれないが、労働者としては死活問題となる。県としてどのように認識し、対応しているのか。

島上雇用経済部長 宿泊・飲食業では非正規雇用労働者が比較的多く、雇用状況は予断を許さない。企業に従業員の雇用の維持確保を働き掛けている。雇用の維持に苦慮する企業と労働力が不足する企業を結び付けるため、情報提供やマッチングの支援をしている。

【無形民俗文化財】
野口議員 コロナ禍などの影響で祭りが何年間か中断した場合、映像記録に残しておくと再開したときに有効と考える。開催団体の努力が一番だが、行政からの支援、助言も必要。無形民俗文化財の記録作成をどう考えるか。

木平教育長 県教委は昭和30年代から解説文と写真による無形民俗文化財の記録をまとめた冊子を作成していた。平成に入ってからは撮影した映像による記録も進めてきた。作成手順をまとめた指針を活用して市町に技術的な助言を行うとともに、国や県の補助金で財政的に支援する。

<記者席 ― 知事のエピソード続々>

○…一族が京都から亀山に移った歴史を前回の一般質問で披露した一見知事。この日も伊勢茶に関する中瀬古議員の質問に「我が家でも茶を栽培している」と紹介した。

○…さらには、離島の振興を訴えた野村議員に「海保時代に多くの離島を巡った」とし、島ごとの特徴を次々と語った。次回は議場を驚かせるようなエピソードも期待したい。

○…小島議員は一見知事に「答弁に歯切れの良さは求めない。良い答えをもらえたら」と要請。野村議員が鈴木前知事を「答弁の歯切れが良かった」と評価したのを意識したか。

○…その小島議員が「満点の回答」と絶賛したのは知事ではなく、岡村環境生活部長の答弁。一見知事は子育て支援への決意を語ったが、果たして小島議員の採点やいかに。