「海軍が悲惨な敗戦招いた」 東京国際大・福井教授が講演 三重

【政経懇話会で講演する福井教授=津市大門で】

伊勢新聞政経懇話会10月例会が18日、三重県津市大門の津センターパレスであり、東京国際大の福井雄三教授が「海軍善玉論のうそと世界史を変えた日本軍」と題して講演。「日米戦争の悲惨な敗北は海軍が招いた」とした上で「海軍上層部の誤りを徹底的に総括すべきだ」と訴えた。

福井氏は講演で「日本がアメリカに勝つ可能性は始めからゼロだった。最善の選択は持久戦に徹し、引き分けに持ち込む努力をすることだった」と解説。「陸軍はアメリカとの戦争を全く想定せず、陸軍に対抗意識を抱いていた海軍がリードした」と説明した。

当時の海軍について、福井氏は「秘密主義、閉鎖主義、組織温存主義だった」と指摘し、大敗を喫したミッドウェー海戦や好機を生かせなかったレイテ沖海戦を例示。「戦況の発表を偽った山本56連合艦隊司令長官は日本を破滅させた張本人だ」と批判した。

その上で「日米戦争でぶざまな負け方をしたことが今なお日本人の潜在意識に尾を引いている。国際社会でまともに発言できず、いまだに軍隊も持てない」と指摘。北朝鮮の拉致問題や尖閣諸島問題も「アメリカが本気で日本に手を貸すはずはない」などと訴えた。

一方で、陸軍については「本格的な戦闘では負けなかった」と解説。硫黄島の戦いは「守る側の日本よりも攻める側のアメリカに大きな犠牲が出た」とし、ノモンハン事件も「スターリンは衝撃を受けたはず。兵士たちの覚悟が日本の運命を救った」と評価した。

福井氏は鳥取県出身で東大法学部卒。企業での勤務や大阪青山短期大の教授を経て、平成24年4月から現職。ソ連崩壊の年に地球一周旅行を実施し、旧ソ連や東欧の情勢を現地で取材した。著書に「世界最強だった日本陸軍」(PHP文庫)などがある。