「熊野市長選市政の課題」コロナで訪問者激減 回復へ集客後押しを

【鬼ヶ城を訪れる観光客=熊野市木本町で】

【熊野】任期満了(11月12日)に伴う熊野市長選が、17日に告示される。選挙へは、5選を目指す現職の河上敢二市長(65)が立候補を表明しており、無投票の公算が大きい。河上市長は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた市内経済の回復と再活性化の実現に取り組むとしている。中でも観光関連事業が最も打撃を受けたとし、需要回復を大きな課題としている。

同市は世界遺産「花の窟神社」や「鬼ヶ城」、「湯ノ口温泉」などの観光資源を有し、豊かな自然と美しい海岸線の風景が魅力だ。しかし、新型コロナの感染拡大によって、観光地を訪れる人の数は昨年著しく減少した。

同市の年間観光入り込み客数は、平成30年度が約160万人、令和元年度が約147万人だったのに対し、令和2年度は約93万人と平成30年度の六割ほどに減った。今年7月の1カ月間の観光入り込み客数は昨年度から約2割増加したが、それでも令和元年度と比べると約七割にとどまっている。

市内の特産品を販売する施設の売上は観光客数に比例し、コロナ禍以前の7割ほどだという。年間売上の約2割に貢献していた海外からの旅行客や、バスツアーなどの団体客が減り、訪れるのは個人客が中心になった。施設の関係者は「休業を余儀なくされた昨年春に比べれば、売上は回復傾向にある」と話し、イベント開催などによる集客の後押しを期待している。

観光集客と並んで同市が力を入れているのが、スポーツ集客だ。同市はソフトボールの聖地として知られ、年間を通してイベントや大会が開かれている。同市でスポーツ合宿を実施する団体も多い。市内の宿泊施設には宿泊客専用の練習用グラウンドを併設しているところもあり、繁忙期には合宿で利用する団体客で予約が埋まることもある。

同市のスポーツによる宿泊者数は、平成30年度が約4万人だったのに対し、令和2年度は約1万2千人にとどまった。同年に開催予定だったスポーツイベント35件のうち23件が中止となり、宿泊を伴う来訪のキャンセルが相次いだ。

打撃を受けた宿泊施設では、厚労省の雇用調整助成金などを活用してスタッフを維持した。市は、新型コロナの感染拡大によって開催が見送られた大会の中でも、市が後援するものは極力、中止ではなく延期して開催するよう努めている。

また、昨年9月から12月までの間、宿泊客一人につき市内で使える2千円分の商品券を配布する「ウェルカムくまのキャンペーン」を実施するなどの対策を講じた。同キャンペーンはスポーツ合宿の宿泊予約にも有効だったため、年末に合宿に訪れた団体が市内のスポーツ用品店で道具を購入するなどの効果が見られた。

市は15日、「ウェルカムくまのキャンペーン第2弾」を開始。現在は対象者を県民に限定しており、感染状況を見て対象拡大を検討している。事業者からは「これを機会に熊野を訪れる人が増えれば」という声が上がった。集客を後押しする施策に期待がかかる。