三重県議会一般質問 危機管理センターの常設検討 知事が方針、既存施設活用

三重県議会9月定例月会議は15日、今井智広(公明党、4期、津市選出)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)、中瀬信之(新政みえ、1期、度会郡)、小林正人(自民党、4期、鈴鹿市)、谷川孝栄(草莽、3期、熊野市・南牟婁郡)の5議員が一般質問した。この中で一見勝之知事は、災害発生時に情報収集などの初動対応に当たる危機管理センターの常設に向けた検討を中長期的に進める方針を示した。厳しい財政状況を踏まえ、既存の施設を活用する考え。中瀬議員の質問に答えた。

■通学路の点検結果は ― 今井 智広議員(公明党)

千葉県八街市で6月、下校中の小学生5人がトラックにはねられて死傷した事故を受けて全国で実施している通学路の点検結果を尋ねた。木平教育長は点検の結果、県内の1456カ所で対策の必要があることを明らかにした。

【つながり】
今井議員 新型コロナウイルス感染症の影響で、地域のつながりや絆が希薄化してしまっている。地域の盆踊りや文化祭といった催しは、1年以上にわたってストップしている状況。再開には大きなエネルギーや予算が必要だと思う。

知事 新型コロナの影響は医療だけでなく、祭りや防災訓練にも及んでいる。地域のつながりは住民の命を守るために重要。コロナが収束に向かえば徐々に活動の再開が見込まれるが、自治体や市町と連携して県民が元気に暮らせるよう全力で取り組む。

【通学路】
今井議員 通学路の合同点検は千葉県八街市の事故を受け、見通しの良い道路や幹線道路の抜け道、ヒヤリハットがあった場所、地域から改善の要望があった場所の観点で再点検が進められたが、点検の実施状況と対策は。

木平教育長 各市町で小学校の通学路を点検したところ、1456カ所で対策が必要だった。11月上旬までに、対策の担当部局や実施時期、内容などを整理する。物理的な対策が難しいところは通学路の変更や見守りを充実させて安全を確保する。

■定数不合格解消を ― 稲森 稔尚議員(草の根運動いが)

県立高校の受検者数が定員に達していなくても、学習意欲などの観点から不合格とする「定数内不合格」の解消を要望。木平教育長は「適切に合格者を決めるよう校長を指導する」などとして理解を求めた。

【伊賀地域】
稲森議員 伊賀地域の雨は伊勢湾ではなく、大阪湾に流れる。「雨は西に流れるが、税金は東に流れる」と、書家の榊莫山が記している。伊賀地域でどのような声を聞き、課題を理解したか。関西圏との連携を強めることに期待する。

知事 我が一族は平安から室町にかけ、京都から伊賀を経由して亀山に来た。大学時代は松尾芭蕉についての講義を受けていた。伊賀は古くから関西の窓口として重要。コロナ収束後は大阪万博などのチャンスを生かし、関西圏での営業活動を活発化させていく。

【定数内不合格】
稲森議員 定員に達していない県立高校でも、毎年のように不合格者が相当に出ている実態がある。国の調査に対し、県教委は「定数内であれば原則として不合格者を出さない」と回答しているのは不適切。学びの機会を確保すべき。

木平教育長 どのような考え方で定数内不合格としたのかを、校長に年度始めに聞き取っている。定数内不合格は令和2年の選抜で122人、3年で52人。学力検査に加え、調査書や面接で受験者の意欲を確認して適切に合格者を決めるよう指導する。

 

■南北格差への認識は ― 中瀬 信之議員(新政みえ)

人口減少が深刻な県南部の実情を訴え、認識を尋ねた。一見知事は自然の豊かさを魅力に挙げつつ「アピールが足りない」と指摘。新型コロナの収束を見据えた観光誘客や交通整備を重要視した。

【南北格差】
中瀬議員 知事が三重にいた40年前と今で地域の状況は違う。南部はシャッター街で、にぎやかな町並みはほとんど見られない。一極集中は県内も鮮明で、特に南部の人口減少は大きな問題。人口格差の縮小に向けた知事の対策は。

知事 南部は自然が豊かだというのが感想だが、アピールが足りないとも認識している。ポテンシャルは多いが、課題も多い。交通の整備や第一次産業の担い手確保、体験や歴史などの新たな観光が必要。移住の促進や関係人口、交流人口の拡大につなげたい。

【危機管理】
中瀬議員 他県は危機管理センターの常設に向けた準備を進めているが、そこに三重は入っていない。常設でセンターを設ける必要性を強く感じているが、知事の考えは。大規模災害が発生した場合、知事の所在や行動は。

知事 災害時の初動対応がその後を左右する。常設の必要性は言うまでもないが、多額を要し、広い場所の確保も必要。中長期的な視点で検討するものと考えている。できるだけ早く県庁周辺に転居したい。知事公舎や民間マンションを含めて検討している。

■eスポーツの発信を ― 小林 正人議員(自民党)

コンピューターゲームの技術や能力を競う「eスポーツ」の大会を県主催で実施し、魅力を発信するように提案。県は大会開催などの活動を支援する一方で、社会的な影響を注視する姿勢を示した。

【eスポーツ】
小林議員 eスポーツでは、障害者の雇用促進を目的とした大会も数多く行われている。障害の有無にかかわらず競い合えるイベント。県主催でeスポーツの大会を企画し、魅力を発信してはどうか。

田中CDO 今週末にはeスポーツの全国大会が四日市市を拠点にオンライン開催される予定で、県も後援している。選手同士で交流を深めてもらいたい。活動を支援する一方で、新しい分野なので普及に当たって社会にもたらす効果や影響を注視する必要がある。

【空き家対策】
小林議員 空き家が適切に管理されないまま放置されると防災や生活環境に深刻な影響を及ぼし、移住促進にも支障が出る。所有者が管理責任を果たさない場合は市町が主体的な役割を果たし、国や県が支援することになっているが、県のこれまでの取り組みは。

真弓県土整備部理事 空き家対策に取り組む市町を支援するため、平成27年度から対策連絡会議を設置している。市町が策定する「空家等対策計画」の情報や関係団体の情報を共有している。計画は本年度内に全ての市町で策定が完了する見込み。

■規制緩和への対応は ― 谷川 孝栄議員(草莽)

厚生労働省が産業用大麻の栽培に関する規制を緩和するよう都道府県に通知したこと受け、県の考えを尋ねた。加太医療保健部長は大麻の販売先や盗難防止対策について「弾力化を検討する」と返答した。

【大麻栽培】
谷川議員 新型コロナウイルスの感染拡大で大麻の使用機会が減少し、栽培者の減少に拍車を掛けていることから、厚労省は9月10日付で、栽培免許の要件を総合的かつ弾力的に運用するよう通知した。県の考えは。

加太医療保健部長 厚労省の検討会では大麻栽培者の免許について指導の弾力化を図ることが適当との意見がまとめられたが、具体的な法改正には至っていない。県としては、余剰分の大麻繊維について供給先の弾力化を検討する。盗難防止対策も一定の弾力化を図ることを検討していく。

【道路整備】
谷川議員 熊野市の丸山千枚田は素晴らしい観光地だが、周辺の道路整備が遅れている。多くは狭くて対面通行が困難で、大型観光バスが通行できない。観光振興の基盤や生活道路としての整備が不可欠だと考える。

水野県土整備部長 長期的な対策として、バイパス整備に取り組むことを前提に検討を進めている。非常に長い年月がかかることから、短期的な対策として車の擦れ違いが可能な待避所を四カ所に設置することにした。駐車場の整備も指示した。

<記者席 ― 総務部長にも畳み掛け>

○…稲森議員は「身勝手な辞職で約9億円もの税金をかけて行った知事選の投票率は過去2番目に低かった」と前知事の鈴木英敬氏を批判し、自民の県議からやじを浴びた。

○…続けて「一見知事は見事に当選したが、得票は有権者の26%」と指摘し、議会にも「名ばかりの二元代表制」と苦言を呈した。大多数を敵に回した稲森議員の狙いやいかに。

○…農業の担い手確保について質問した谷川議員は「農林水産部の予算が少なすぎる」と指摘。一見知事が知事選で「強靱(きょうじん)な美し国三重」を目指すと主張していたことを踏まえ「ぜひ予算を付けて」と要望した。

○…さらに、谷川議員は「総務部長、聞いておられますか」と知事の後ろに座る高間総務部長にも畳み掛けた。大きく何度もうなずく高間総務部長から離れた席の更屋農林水産部長には来年度予算への希望が生まれたか。