養殖環境、情報通信で把握 県など3団体 アコヤガイ斃死対策で 三重

【県などが試験場に設置したセンサー(三重県提供)】

三重県志摩市の英虞湾などでアコヤガイが大量死した問題を受け、県など3団体は15日、情報通信技術を対策に活用する新たなプロジェクトを始めたと発表した。養殖場や貝にセンサーを設置し、環境の変化が貝に与える影響を調べる方針。「効果的な対策や適切な養殖方法の開発につなげたい」としている。

県によると、NTTアグリテクノロジー(本社・東京都)とミキモト(同)の合同で実施。NTTアグリから技術提供の提案を受けた県が、独自で研究を進めていたミキモトにも協力を依頼した。

英虞湾にある県の試験場にNTTアグリの「海洋IoTセンサー」を設置し、水温や塩分濃度、酸素量などを測定。ミキモトが開発した「貝リンガル」と呼ばれるセンサーを貝に取り付け、開閉状況を監視する。

これにより、養殖の環境と貝の状態をリアルタイムで把握することが可能となる。県は大量死を受けて養殖場にセンサーを設置してきたが、観測できるデータは水温と塩分濃度に限られていた。

県内では令和元年、稚貝の70%が斃(へい)死するなど、アコヤガイの大量死が発生。稚貝の斃死率は、昨年は約44%、今年は約25%と減少傾向にあるが、例年の15%に比べると多い状況が続いているという。

プロジェクトは来年3月末まで。現段階では試験的な取り組みだが、年度内にも取り組みを検証し、効果があれば来年度以降も継続する。実施範囲を実際の養殖場にも広げることも検討するという。

県水産研究所の青木秀夫研究管理監は「リアルタイムの情報に基づく迅速な対策が期待できる。貝に影響を与える環境の変化を予兆として捉えられれば、より適切な管理も可能となるはず」と話している。