<三重県知事選 県政の課題・中>コロナで宿泊・飲食業に打撃 国体中止が追い打ち

【飲食店の休業や営業時間の短縮が相次ぐ津駅周辺=津市羽所町で】

新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける三重県内経済。特に宿泊業や飲食業への影響は深刻だ。三重とこわか国体・とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の中止決定が追い打ちを掛ける。

「国体に向けてかなり予算をつぎ込んでいた」。ホテルグリーンパーク津(津市羽所町)は大会関係者が約1カ月間宿泊する予定だったといい、担当者は国体の中止に「残念な部分と、仕方がない部分と半々」と複雑な心境を語った。

昨年から続く新型コロナのまん延で宿泊需要が落ち込み、ホテルや旅館は苦境に陥っている。津市中心部の代表的なホテルの1つだった都シティ津(津市大門)は需要回復の見通しが立たず、2月末に閉店した。

県の施策も順調とは言えない。宿泊料金を割り引く「みえ得トラベルクーポン」を6回にわたって発行し、宿泊需要を喚起したが、感染の波が大きくなるたびに、クーポンは発行停止に追い込まれた。

宿泊業者にとっての頼みの綱は三重とこわか国体・とこわか大会だったが、これも感染拡大を受けて中止が決まった。県が一括して確保していた約18万7千泊分の客室は一夜にして空室になった。

コロナ禍で影響を受けるのは宿泊業者だけではない。まん延防止等重点措置や緊急事態宣言で、飲食店は休業や営業時間の短縮を強いられる。取引のある卸売業者やタクシー業者など幅広い業種に影響が広がる。

令和元年の後半から徐々に悪化がみられた県内経済は、コロナ禍で一気に落ち込んだ。国の出先機関は、経済関連の統計調査で「リーマン・ショック以来」という言葉でその下落の大きさを表現した。

一例が津財務事務所の景気予測調査。昨年4―6月期に景況感が「上昇した」と答えた企業の割合から「下降」を差し引いた景況判断BSIはマイナス59・3で、リーマン・ショック以来、過去最低を更新した。

今年4―6月期の景況判断BSIは、マイナス19・7と大幅に改善しているものの、小売業や観光関連は依然として新型コロナの影響で悪化がみられた。8月には緊急事態宣言が発令され、先行きは不透明だ。

鈴木英敬知事は7日の両大会実行委の総会で、国体の中止決定を報告し「50年に一度のチャンスが失われた」と述べた。大きな機会を逸した今、次の知事には新たな一手が求められている。