<コロナ禍の知事選(中)>オンライン活用励む 有権者への浸透薄く

【ウェブ会議で有権者と意見交換する候補者=津市桜橋1丁目で】

鈴木英敬三重県知事の辞職に伴う知事選の立候補者は、街頭演説の様子を動画でSNS(会員制交流サイト)で発信したり、ウェブ会議で有権者と会話したりと、オンラインを活用した選挙活動にも励んでいる。

元国交省官僚、一見勝之氏(58)の陣営は先月26日の告示以降、毎日欠かさずツイッターを更新。スタッフが一見氏のメッセージや街頭演説の様子などを撮影し、写真や動画で投稿している。

元県議の岡野恵美氏(69)は、フェイスブックやブログなどを通じた選挙活動の報告に加え、ウェブ会議を導入した。岡野氏が掲げる施策や県政の課題などを巡り、有権者と意見を交わしている。

両陣営がオンラインを積極的に活用する背景にあるのは、もちろん新型コロナウイルスの感染拡大。個人演説会の自粛などで、有権者に発信できる機会が制約される中での代替策という位置付けだ。

デジタル庁が1日に発足するなど、ITで生活を変革する「デジタルトランスフォーメーション」が広がる中でもある。両陣営の取り組みには「候補者が時代に乗っていること」を示す意図も垣間見える。

ただ、両陣営ともオンラインを活用した活動は盛り上がりに欠ける。候補者がインターネットで政策を発信できる「ネット選挙」が解禁されてから8年がたつが、十分に浸透しているとは言えないようだ。

一見氏の陣営がツイッターに投稿した動画の再生回数は、多いものでも千回程度。ツイッターのフォロワーも200人ほど。陣営幹部は「SNSに一定の反応はあるが、現場の活動には及ばない」と話す。

岡野氏の陣営も「ウェブ会議を通じて有権者と対話できた」と手応えを感じているようだが、参加者は支援団体などの〝身内〟が中心。陣営幹部は「SNSも芸能人やアスリートのようにはいかない」と語る。

また、ある陣営の関係者は「有権者側もオンラインで候補者の情報を入手する意識が低いのでは」と指摘する。「今は高齢者もスマートフォンで孫の顔を見ている。もう少し選挙にも目を向けてほしい」と話す。

他方、建設会社社長の石川剛氏(47)もツイッターで活動を報告しているものの「ポスター貼りの途中で有権者に声をかけてもらい、地域の課題を教えてもらっている。じかに声を聞くことが大事」と訴える。