<コロナ禍の知事選(上)> 有権者に近づけず 苦戦する選挙活動

【街頭演説する候補者=名張市鴻之台で】

コロナ禍で三重県全域を対象に実施される選挙としては初となる今回の知事選。立候補した3氏は新型コロナウイルスの感染防止対策に気を配っているようだが、有権者への浸透を図るには難しさがあるようだ。

会場いっぱいに参加者を集めての個人演説会や有権者一人一人との握手など、選挙活動はいわば「密」の連続。本来なら、いかに密をつくれるかが支持拡大の行く末を左右すると言っても過言ではない。

ただ、コロナ禍で「密」は禁物。県内には緊急事態宣言が出されている中でもある。感染対策を怠れば候補者のイメージダウンにもつながりかねず、陣営での感染判明という最悪の事態にもなりかねない。

選挙活動のうち、重要な役割を担うのが個人演説会だ。支持拡大や陣営の引き締めに効果があるとされるが、今回の知事選に立候補した3氏の陣営では、感染拡大を踏まえて開催しない見通しという。

元国交省官僚の一見勝之氏(58)と元県議の岡野恵美氏(69)は、会場を設けての個人演説会に比べれば感染リスクの低い街頭演説に力を入れる。候補者は各地で懸命に演説し、地元議員らも応援に駆け付ける。

しかし、かつての知事選などと比べると、街頭演説も盛り上がりに欠けると言わざるを得ない。立ち止まって演説を聞く有権者は、まばら。ひたすら目の前を車だけが通り過ぎるという光景が目立つ。

それもそのはず。両陣営とも街頭演説への参加を関係者に呼び掛ける「動員」を、今回は自粛しているためだ。ある陣営では「むしろ、できるだけ参加を控えるよう促している」(陣営幹部)という。

立候補が初めての一見氏にとっては顔を知ってもらうことが重要だが、陣営幹部は「コロナ禍の活動が難しく、それさえ満足にできない」と不満そう。「できることをやっていくしかない」と話す。

岡野氏についても「県議の経歴があるとはいえ、地元の津市を除けばまだまだ知られていない」と陣営幹部。「支持者を集めた決起集会もできず、選挙活動にメリハリを付けるのが難しい」と明かす。

他方、建設会社社長の石川剛氏(47)は「演説を迷惑に思われてしまうのなら、すべきではない」などとして、街頭演説さえ実施しない。家族や従業員らの協力を得て地道な活動にいそしんでいる。