志摩半島の戦争証言を集約 元高校教諭の橋本さんが出版 生徒レポートから58人分 三重

【戦争に関する証言をまとめた冊子と当時のレポート用紙を紹介する橋本さん=伊勢市内で】

【伊勢】三重県伊勢市朝熊町の元高校教諭、橋本理市さん(83)は8月15日の終戦記念日に合わせて、教諭時代の課題として生徒から集めた太平洋戦争に関する証言を1冊にまとめた「志摩半島の太平洋戦争 58人の証言」を自費出版した。橋本さんは「何が正しいのか、自分で考えるためのきっかけとして役立ててもらえたら」と話している。

橋本さんは三重大学農学部を卒業後、県内高校で勤務。昭和43年から約13年間、県立志摩高校で英語を担当していた際に平和教育の一環として、生徒の祖父母や両親などに戦争に関する体験談を聞き、レポートとして提出するよう課題を与えていたという。

退職から22年が経った昨年、自宅の資料を整理する中でこのときに提出されたレポートを発見。読み返すうちに、戦時中の様子を知ることができる貴重な資料として残す価値があると考え、1冊の本にまとめることを決めたという。

本は橋本さんが受け持った昭和48年の卒業生約90人のうち、58人分の証言をまとめた。食糧難から学校の運動場を畑にして作物を作ったり海水から塩を作ったりした体験や、竹槍訓練の様子、日常的に空襲警報が鳴り響き、防空壕へと避難していた様子などが、父や母ら家族からの伝聞という形で記されている。

橋本さんは生家が明野駐屯地近くだったことから、自身も機銃掃射から逃げ延びる体験をしたといい、「なぜ戦争をしたのか、誰が責任を取ったかといった、二度と戦争を起こさないための教育は当時ほとんどなかった。戦争を知る世代が少なくなる中、子どもたちに平和を知る生の資料として使ってもらえたら」と話す。

B5判、表紙込み全65ページで50冊を作成。伊勢志摩地区の図書館や小中学校への寄贈を検討しているほか、希望者には1冊送料込み1000円で販売する。問い合わせは橋本さん=電話0596(24)4562=へ。