南伊勢町・宿田曽地区 高齢者の生活、地域で支え 住民らNPO法人立ち上げ 三重

【訪問した高齢者(右)の体温を測定する「わがら」のスタッフ=南伊勢町田曽浦で】

【度会郡】人口減少や高齢化が進む三重県の南伊勢町宿浦、田曽浦両地区の住民らがNPO法人「わがら」(濵口保泰理事長、14人)を立ち上げ、高齢者の見守りを兼ねた日常生活支援や地域活性化に向けた活動を行う「地域支え合い事業」に取り組んでいる。

宿田曽地区はかつて、基幹産業としてカツオ一本釣りの遠洋漁業が盛んで活気にあふれていたが、時代の流れと共に産業が衰退し、若者の働く場所が激減した。仕事を求めて地区外へ流出する若者が増え、遠洋漁業が全盛期だった1975年の人口3928人から現在は1580人まで減少。高齢化率も5月末時点で51・95%となり、出生数は3年連続0人という。

昔から漁船船員の家庭が多く生活様式が似ているため、住民らが助け合い結び付きも強いのが両地区の特徴。現在の状況を踏まえ、持続可能な集落機能の維持を目指して地域で支え合う体制をつくろうと、4月に「わがら」を発足した。7月に立ち上げた「宿田曽地域活性化協議会」と連携し、町の支援を受けながら地域課題解決に向け、3年計画で実証実験を行っている。

初年度は田曽浦で高齢者日常生活支援事業を実施。65歳以上の高齢者を対象に会員を募集し、75人が登録した。年会費を支払うと一部のサービスを除き、無料で対応。定期訪問やごみ出し、診療所への送迎、緊急時の駆けつけなどのほか、新型コロナウイルスワクチン接種の予約支援も行ったという。

高齢者の負担を軽減するため、今後は両地区の地域資源を活用してシーカヤックや釣りなど自然体験を提供する地域活性化事業も行う予定で、そこで得た収益を生かして高齢者支援事業を進めていくという。来年度は宿浦でも同事業を展開していく。

同町田曽浦の浜口きぬ子さん(89)は「週に1回訪問して話を聞いてくれるのが何よりもうれしい。ごみを捨てるのも大変だったのでありがたい」、濵口理事長(57)は「皆さんが喜んでくれるのでやりがいがある。今後も継続していきたい」と話した。