知事、来月辞職表明か 「まる見えリポート」三重県内、衆院選ムード高まる、全区与野党対決の構図に

【ぶら下がり会見で、自民党の候補者選定について「承知していない」と述べる鈴木知事=県庁で】

衆院の任期満了を10月21日に控え、三重県内でも選挙ムードが高まっている。鈴木英敬知事が三重4区で自民党から立候補することは、ほぼ確実な情勢。川崎二郎衆院議員が今期限りで引退する三重2区では長男の秀人氏、三重3区では前菰野町長の石原正敬氏が立候補する見通しとなり、県内全ての選挙区で与野党対決の構図が固まったと言える。一方、与野党は次期知事選に備えて元国交省キャリアに出馬を打診するも、出馬が実現するかは不透明な状況。前回知事選に続く「与野党相乗り」への批判も上がる。

平成21年の衆院選旧三重2区で落選した鈴木知事。これまで幾度となく国政進出の話題が取り沙汰されてきたが、三重4区の現職、三ツ矢憲生氏が今期限りでの引退を表明したことで出馬は確実な情勢だ。

鈴木知事は自身の去就について、依然として「決まったことはない」との姿勢を崩さないが、県庁内の事務方は知事の国政転出を確実視。水面下で辞職表明の「Xデー」を8月の第1週と想定する。

現段階では8月表明の見方が大勢を占めるが、10月に三重とこわか国体という重大行事を控えることから定かではない。衆院選が11月にずれ込む可能性も踏まえれば、国体後の辞職も捨てきれない。

国体前の辞職なら開幕時点で新知事就任は絶対条件だが、与野党が打診する元国交省キャリアの一見勝之氏が出馬するかは不透明。出馬の可否は、与野党が一見氏に相乗りできるかにかかっているとされる。

一方、インターネット上では鈴木知事の国政転出を巡って「コロナ禍で知事の任期を残して県政を投げ打って国政に進出するのか」との批判が目立つ。有権者の理解を得られるかが選挙戦を左右するだろう。

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鈴木知事の国政転出を巡る報道からまもなく明るみとなったのは、川崎氏の引退意向。自民は長男の秀人氏を三重2区で後継として擁立し、鈴木知事の三重4区出馬と併せて候補者の若返りを図る構えだ。

野党は従前の野党共闘で対抗できるのか。立憲は三重4区で元民放アナウンサー、坊農秀治氏の擁立を決めているが、鈴木知事の出馬を念頭に「なんとか比例復活だけでも」(県議)と早くも戦々恐々のようだ。

そんな事情も背景にあってか、やはり知事選の相乗りは野党にとって至上命令らしい。ある県議は「激しい闘いが予想される衆院選に備えるため、知事選でのガチンコ勝負は避けたい」と胸の内を明かす。

ただ、出身省庁に違いはあれども二代にわたって元キャリアが就任するというのもいかがなものか。「国とのパイプ」は必要であるにせよ、少なくとも有権者にとって多様な選択肢が必要だろう。

ずばりの適任者がいないことも候補者選びを難しくしたようだ。筆頭株だった前葉泰幸津市長は自治会問題でイメージの低下を回避できず。二日の定例記者会見で「出馬するつもりはない」ときっぱり否定した。

賛否はあるにせよ、県庁に適任者はいないか。聞き回ってみると、職員からの声が最も多かったのは「初の女性知事」などの理由で廣田恵子副知事だったが、候補者に擁立しようとするような動きはない。

一方の共産党は市民団体と協力して独自候補の擁立を進めている。「県政を国の出先機関にしてはならない」と県委員会幹部。一見氏への与野党相乗りが決まろうとも、選挙戦となる見通しだ。