三重県議会一般質問 写真付き身分証で本人確認を 入場券不持参の有権者に

三重県議会6月定例月会議は14日、山本教和(自民党、9期、志摩市選出)、下野幸助(新政みえ、3期、鈴鹿市)、小林貴虎(自民党県議団、1期、津市)、津村衛(新政みえ、4期、尾鷲市・北牟婁郡)の4議員が一般質問した。県選管は選挙の入場券を持参していない有権者に対する本人確認の方法について、基本的には生年月日などの聞き取りとし、身分証明書の提示は求めていないことを明らかにした。小林議員は「なりすまし投票」などを防ぐため、写真付き身分証明書で本人確認を行うよう促した。

■アコヤガイ大量死対策は ― 山本 教和議員(自民党)

県内でアコヤガイが大量死した問題への対策について尋ねた。県当局はストレス緩和策や情報発信などで一定の成果が上がっていると報告しつつ、気候変動に対応した品種の開発を進める考えを示した。

【地方創生】
山本議員 学生時代に同じ下宿だった大垣共立銀行会長の故土屋嶢氏が「リゾート開発は金太郎飴だ」と語っていた。土地さえあればいくらでも金が出たが、事業内容を精査すべきだった。これからの地方創生をどう進めるか。

安井戦略企画部長 多様で豊かな資源を持続的な発展に生かすためには、さまざまな分野で新しい発想や先端技術を積極的に取り入れ、イノベーションの創出やDXの推進につなげることが重要。産学官の連携を進め、新たな取り組みにチャレンジしたい。

【真珠】
山本議員 かつて県内での真珠の生産量は年間で50トンに上り、末端価格で当時1千億円を超えていた。これまで数え切れない災害を乗り越えてきたが、アコヤガイの斃死は記憶に新しい。新たな技術を活用した取り組みの状況は。

更屋農林水産部長 真珠養殖対策会議によるストレス緩和策などで斃死率は低下したが、引き続き対策を講じる必要がある。4月には斃死発生時の対策を時系列で整理したタイムラインの運用を始めた。気候変動に対応できる品種の開発にも着手する。

■国体後も特別選考継続を ― 下野 幸助議員(新政みえ)

三重とこわか国体に県代表場として出場する選手や指導者を確保するため、教員採用試験で設けていたスポーツ競技者特別選考を国体後も継続するよう要望。県教委は「必要な体制は一定整った」として、継続に慎重な姿勢を示した。

【三重とこわか国体】
下野議員 県ではスポーツ競技者特別選考で、トップクラスの選手を採用している。国体の競技者や国体後の指導者として活躍できる人材ということで実施していた。国体後も採用し、スポーツの競技力を維持してほしい。

木平教育長 平成25年度から令和2年度の8年間で17種目24人を採用し、当初必要としていた体制は一定整ったものと考える。今後は学校における部活動指導者の充足状況などを含め、県のスポーツ競技力向上の方向性を踏まえて必要性を検討する。

【コロナ支援金】
下野議員 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の支援策で、飲食店と関連事業者への支援を同時期にスタートしてほしい。どうしても飲食店が先になる。スタートが遅れると入金も遅れる。

島上雇用経済部長 飲食店取引事業者や酒類販売業者への支援金は、国の支援対象とならない事業者への支援を目的としている。国の支援制度の発表を待ち、県の制度設計を進める必要があったため、開始時期がずれた。可能な限り早期に制度の全体像を公表する。

■本人確認「心もとない」 ― 小林 貴虎議員(自民党県議団)

県によると、入場券を持参しなかった有権者に対する本人確認の方法として、身分証明書の提示を求めているのは県内で3市町程度にとどまる。小林議員は現状の対応を「心もとない」と指摘した。

【性暴力】
小林議員 教員の性暴力から児童と生徒を保護する法律が可決され、わいせつ行為で失効した教員免許を再交付する際は県教委が審査会の意見を聞くと定められた。都道府県で統一的な判断基準が必要だが、どう対応するのか。

木平教育長 教員免許は全国で効力があるため、都道府県によって判断に差が出ると安全に学べる環境が脅かされる可能性がある。再交付の可否を適切に判断するためのガイドラインを示すよう、文部科学省に提言した。国の動向を注視したい。

【本人確認】
小林議員 多くの自治体は入場券を持参していない有権者に対して名前や住所を宣誓書に記入させて本人確認としているが、それらを記憶すれば投票できてしまう。身分証明書の提示は義務ではないが、現在の方法では心もとない。

富永県選管委員 入場券を持参していないことを理由に投票を認めないことはできず、基本的には生年月日などを聞いて本人確認としている。総務省の通知の通り、県選管としても写真付の身分証明書は有効だと考える。会議や勉強会で市町の選管に周知したい。

■財源に寄付型自動販売機 ― 津村 衛議員(新政みえ)

熊野古道を保全するための財源を確保するため、津市が活用している寄付型自動販売機の導入を提案。県当局は、県立熊野古道センター(尾鷲市)への設置に向けて指定管理者と調整する考えを示した。

【寄付型自動販売機】
津村議員 熊野古道に関する予算の中で、特に保全費用については予算が厳しい。津市では寄付型自動販売機の売り上げの一部が緑化基金に使われている。住民への啓発にもつながる。財源の一つとして自販機を設置してはどうか。

横田南部地域活性化局長 熊野古道を未来に引き継ぐためには継続的な保全活動が必要で、そのための財源も重要。自動販売機を設置することで、来訪者にも気楽に保全活動に貢献できる仕組みができる。まずは県立熊野古道センターの指定管理者と調整する。

【事前伐採】
津村議員 台風時の倒木による停電を防ぐための事前伐採事業では市町の財政的な負担がないにも関わらず、全域に広がるにはまだ道半ば。事業化が進まない理由に人的負担が大きいと聞く。県は課題をどのように把握しているのか。

更屋農林水産部長 市町との意見交換会で必要性を説明すると共に情報共有をしてきた。市町で有効性は認識しているものの、専門知識のある職員を配置できず、障壁となっている。意見交換会を通じて市町の課題をきめ細かく把握し、必要な支援を行っていく。

<記者席 ― 知事がどこかへ?>

○…島上雇用経済部長は山本議員の地方創生に関する質問への答弁で「三重には何もないでしょ」という言葉を職員から相次いで聞かされ、部内で「禁句」にしたと紹介した。

○…経済産業省からの出向者として「違和感」があったとの経緯はさておき、驚かされたのは「禁句」という手法を用いたこと。その強引さ、さすがは経産省といったところか。

○…鈴木知事の就任と時を同じくして県議選に初当選し、今年10年の節目を迎えたという下野議員。紀伊半島大水害やコロナ禍の対応における知事のリーダーシップを評価した。

○…たっぷりと褒めちぎった上で「これからもよろしくお願いします」とあいさつ。知事は会釈して応えていたが、議場では一部で笑いが起こった。近いうち、知事がどこかへ行ってしまうか。