明治期の「津綟子」見つかる 津の旧家で

【見つかった「津綟子御襦袢地」を紹介する浅生さん=津市安濃町の浅生さん宅で】

【津】三重県津市芸濃町の旧家でこのほど、江戸―大正期に津で染織されていた「津綟子(つもじ)」のじゅばん地が見つかった。発見者で津綟子の研究で知られる郷土史家、浅生悦生さん(76)=同市安濃町=によると、現存する資料が県内で4例しかなく、明治期の呉服商の商標が付いた仕立て前の生地が見つかるのは初めてという。

津綟子は麻などを使い2本の縦糸が横糸を挟んで絡むように織られる「綟子織」の織物。江戸期から安濃町付近で織られた製品は織りや染めの精巧さから「津綟子」と呼ばれ津藩の名産品として幕府に献上されていた記録がある。

肩衣、はかま、法衣、蚊帳などに使われていたが着物文化の衰退と共に作られなくなり現存資料も限られていた。

今回見つかったのは明治時代に紅茶の輸出で成功し平成26年まで医院を営んでいた駒田家。取り壊しに伴い所有者の依頼で4月中旬に浅生さんが蔵などを調べた際に発見し譲り受けた。「津綟子御襦袢(じゅばん)地」と表書きのある紙に包まれた生地で「名産津綟子」「河邉清右衛門」などと書かれた販売元の商標が縫い付けられている。

浅生さんによると、河邉清右衛門は明治―大正期に残った最後の津綟子の商人で、明治13年の天皇巡幸時に津綟子を献上した記録がある。見つかった布地は幅33センチ、長さ553センチで男物の肌着1着分といい「商標に『三重懸津市』とあるので明治22年以降の製品。天皇に献上したのと質は違うが同じ商人で、売っていた商品そのものが出てきた画期的な発見」と喜ぶ。

浅生さんは今後、津綟子の再現に取り組む市内のグループなどと共に研究を進めるとして「郷土史の材料として大切に保管したい」と話している。