自治会への便宜「市長に責任」 津市調査チーム 最終報告書で指摘 三重

【津】三重県津市の旧相生町自治会に市役所が便宜を図っていたとされる問題で、市の調査チームは27日、最終報告書を市に提出した。元相生町自治会長の田邊哲司被告(61)=詐欺罪で起訴=からの不当要求に組織的に対応する備えを怠っていたとし「組織のトップである市長に責任がある」と指摘した。

提出された最終報告書は全20ページ。田邊被告が相生町自治会長に就任した平成25年以降、市職員の不適切な関わりを時系列にまとめた。調査から判明した市役所の問題点や背景も明記した。

報告書は前葉泰幸市長の責任について「幹部職員に任せてしまい、市役所全体で対処するための機構的な備えを怠ってきた」「市役所が違法かつ不当な要求に対する機構的な備えを怠ってきた」などと指摘した。

盆野明弘副市長は「幹部職員らの悩みを共通の課題として把握した上で、組織として対応」することができていなかったとし、部下の管理監督責任や事務方トップとしての責任があると記した。

田邊被告と密接に関わってきた歴代の人権担当理事は「過剰に寄り添ったとも言える対応をし続けてきた責任は非常に大きい」としつつ、「個人の責任というより、職責としての責任である」と説明した。

土下座での謝罪が常態化していた職員らを「『洗脳されていた』という表現が当てはまるほど異常な状態」と表現。幹部職員が問題を認識しながら、組織的に対応しなかったことにも「大きな責任がある」とした。

市は昨年12月に顧問弁護士による調査チームを設置。弁護士7人が今月20日までに延べ293人の職員から聞き取り、20事案を調査。うち4事案は詐欺罪に当たるとして、市が津署に告訴した。

■解説 ― 監査対象は現役職員のみ■

約5カ月間にわたった自治会問題に関する調査の最終報告書がまとまった。報告書は「自治会問題の全体像の『構図』を明らかにした」とし、職員の処分や再発防止策など今後の方向性を整理している。

市の調査チームは、防犯灯の設置を装って補助金をだまし取ったとして、津署に詐欺容疑で逮捕された元人権担当理事の松下哲也容疑者(67)の関与を明らかにするなど、市役所に一定程度メスを入れた。

一方、調査対象は現役職員に限り、報告書に登場する「市議」や「退職した中堅職員」への聞き取りは一切していない。前葉市長は「意見があれば、津市にお寄せいただければと思う」と聞き取りに消極的だ。

元中堅職員が使用していたパソコンから見つかったデータについて、前葉市長は「幹部職員は作成を指示していないということだった」と現役職員の意見を尊重。偏った調査では客観性に欠ける。