「大塚敬節記念東洋医学賞」を受賞 津の漢方専門医・金子幸夫氏

【最近の著作を前に受賞を喜ぶ金子氏=津市南丸之内の金子医院で】

【津】三重県津市西丸之内の漢方専門医、金子幸夫氏(73)はこのほど、日本東洋医学会(東京都港区・会員8407人)が長年にわたり東洋医学界の発展に多大な貢献をした会員に贈る「第36回大塚敬節記念東洋医学賞」を受賞した。平成14年の奨励賞、同30年の学術賞に続き今回で同学会が選考する3賞全てを受賞する県初の快挙を成し遂げ「いろんな先生に育てて頂きここまで来られた」と喜んでいる。

同賞は北里研究所東洋医学総合研究所初代所長大塚敬節氏の業績を記念し昭和57年に創設。この10年で選ばれたのはわずか3人と極めて選考は厳しい。先月学会から受賞の連絡があり、8月にウェブで開催される第71回日本東洋医学会学術総会で表彰式があるという。

金子氏は三重県立大(現・三重大)医学部卒業後内科医としてがんを研究。40歳の時娘のぜんそくに漢方薬を投与し劇的な効果があったことから独学で中国語の医学書を読み、平成4年に漢方専門の医院を開設した。

県内外から訪れる患者の治療をしながら後漢時代の名医・張仲景の「傷寒論」「金匱要略」、清代の名医・葉天士の「臨証指南医案」を研究し、平成7年からこれまでに13種類約30巻に及ぶ解説書を出版した。

金子氏は「古典を読んで1つ1つの病態を把握していけば新しい処方を作って治療できると考えた」と振り返る。同医院には治療法を探し病院を転々とする遠方の患者が訪れるといい「一所懸命勉強してよそで治らなかった方を1人でも良くしたい」と話す。

現在も所属や専門科の垣根を越え定期的に勉強会を開く。集大成の受賞にも「県内で漢方を研究する仲間は皆すごく熱心。まだまだ引退できない」と意欲を見せている。