鳥羽 新型ウイルス クラスター偏見、中学生激励 施設支えた寄せ書き 三重

【クラスター収束後も玄関ロビーに飾られている寄せ書き=鳥羽市内で】

新型コロナウイルスの感染拡大が三重県内でも止まらない。細心の注意を払う中で起きてしまった感染への対応に感染者本人や関係施設、医療従事者らは苦慮する一方で、周囲の厳しい目にもさらされる。2月にクラスター(感染者集団)に認定された鳥羽市岩倉町の特別養護老人ホーム「鳥羽陽光苑」の関係者たちも収束までの約1カ月対応に奔走。その間、地域の子どもたちの励ましに心を救われたと話す。

日常が一変したのは2月13日。入所者の一部に発熱症状があり、医療機関に依頼して検査を実施したところ複数の陽性者が確認された。PCR検査の結果、入所者10人と職員2人の感染が分かり、16日にクラスターに認定された。

陽性者のほぼ全員が県内の病院に入院することができたが、残る職員らは退院してくる入所者らとその他の活動領域を分ける「ゾーニング」の徹底など新たな感染防止策に忙殺された。感染リスクを避けるため、入所者の世話のさいに身につける防護服や手袋などは毎回新しくし、専門業者に処理を依頼するゴミは普段の10倍近い量になった。

事態の収束まで自宅に戻ることは出来ず、職場に泊まり込むか、県が指定した宿泊施設で生活した。中南勢地域のホテルから通勤した人もいた。職員らをさらに追い詰めたのがいわれのない差別。施設には対応を責める電話が続き、濃厚接触者と認定されなかった職員も周囲の偏見に苦しんだ。

この間、心の支えになったのが授業や行事などで日ごろ交流を深めて来た地元の鳥羽市立加茂中学校からの激励の寄せ書きだった。70人の全校生徒が「ファイト陽光苑」「コロナに負けるな」「私たちも応援しています」などと直筆でメッセージを寄せた。

生徒からの提案もあり、「一番大変な状況で、少しでも元気づけられることができれば」(掛橋敏也校長)と、クラスター認定から約十日後には施設に届けられた。職員らを涙を流して感激させた寄せ書きは今も玄関ロビーに飾られている。

業務再開後も、新たな感染者を出さない努力を続けている。園長の市岡三年さんは「クラスター認定で(周囲に)申し訳ないという思いで皆やって来たが非常に疲れている時。子どもたちの寄せ書きを見た時は自分自身救われる思いだった。これを励みに、もっと注意して感染対策に取り組んで行きたい」と話している。