五輪聖火、県内つなぐ 2日間で12市町184人 観覧者に「密」回避呼び掛け

【聖火をつないだ吉田沙保里さん(奥)と母の幸代さん=津市北河路町の津市産業・スポーツセンターで】

新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期された東京五輪の聖火リレーが7日、三重県内で始まった。8日までの2日間で12市町を巡り、計約42キロを著名人や県民ら184人のランナーが走る。

県内の聖火リレーは澄んだ青空の下、四日市市の四日市公害と環境未来館からスタート。出発式では、鈴木英敬知事が桑名市出身で男子マラソン元五輪代表の瀬古利彦さん(64)のトーチに愛知県から届いた聖火をともした。

瀬古さんは「ついたよ」と聖火がともされたトーチを集まった観覧者に披露。午前9時半ごろ、拍手で見送られながら走り出した。瀬古さんの後に県内小中学生のサポートランナー19人も続いた。

約200メートルを走り終えた瀬古さんは「7月23日の開会式で聖火がともされるのを想像して、涙がこぼれそうになった」と振り返り、「コロナ禍で閉塞(へいそく)感がある。聖火でコロナを吹き飛ばしてもらいたい」と願った。

続く鈴鹿市では国際レーシングコースのあるレジャー施設「鈴鹿サーキット」などで聖火をつなぎ、亀山市では江戸時代の趣が残る関宿をランナーが走り抜けた。津市では市産業・スポーツセンター「サオリーナ」に、施設名の由来にもなった同市出身でレスリング女子五輪3連覇の吉田沙保里さん(38)が登場した。

鳥羽市ではバドミントン女子元五輪代表の小椋久美子さん(37)が市営定期船に乗り込み、答志島に聖火を運んだ。伊勢市では伊勢神宮周辺などを巡り、名張市出身でお笑い芸人のチャンカワイさん(40)がこの日の最終走者として午後7時半ごろ、県営総合競技場に到着した。

新型コロナの再拡大が懸念される中での実施。県職員は出発式の会場周辺などで「密」が発生するのを防ぐため、足跡のマークが印刷されたシートを貼り付けていた。鈴木知事は出発式のあいさつで「希望の光をつなぎ続けるために、感染症対策に協力してほしい」と呼び掛けた。

2日目の8日は伊賀市を出発し、名張市、松阪市、大紀町、紀北町を経て熊野市に至る。歌手の鳥羽一郎さん(68)やタレントの磯野貴理子さん(57)らがランナーを務め、聖火を和歌山県に引き継ぐ。

■吉田さん「選手にエール」■

津市出身で女子レスリング五輪3連覇の吉田沙保里さん(38)は、自身の名前が付いた津市産業・スポーツセンター「サオリーナ」で聖火ランナーを務め、次走者の母の幸代さん(66)に聖火リレーをつないだ。

吉田さんは走り終えた後、「現役中にたくさんの方に応援してもらい金メダルを取ることができた。五輪に向けて頑張っている選手たちにエールを込めて走った」と笑顔で語った。幸代さんと聖火を次のランナーに引き継ぐ「トーチキス」をしたことについて、「こんな光栄なことはない。ここまで育ててくれてありがとうという気持ちを込めた」と語った。

幸代さんは「楽しく幸せな時間だった。沙保里から聖火をもらい、ありがたいと思いながら走った」と話した。選手に向けて「厳しい状況の中でコンディションを整えながら大変だと思う。皆さん夢を持ってきたと思うので、頑張ってほしい」と話した。