志摩マリンランド最後の特別展 今月末で営業休止、飼育員厳選の58種 三重

【来場者への感謝を伝える里中館長=志摩市の志摩マリンランドで】

【志摩】三重県志摩市の憩いの場として半世紀にわたり親しまれてきた志摩マリンランド(阿児町神明)が3月末で営業休止を迎える。営業休止の発表以降、残りわずかとなった営業期間を惜しむように、館内は連日多くの利用客でにぎわっているという。里中知之館長(54)は「余韻に浸る時間も少なくなってきた。最後まで感謝を伝えたい」と話す。

同館は昭和45年3月に開業。看板のマンボウをはじめ500種約1万3千匹の海洋生物を飼育、展示し、ミズダコやパラオオウムガイの世界初の繁殖成功などで知られている。平成13年に開催されたハゼの特別展には上皇陛下御夫妻が訪れたことも話題となった。

地元志摩市浜島町の出身という里中館長は、日本大学農獣医学部(現生物資源学部)を卒業後、平成元年に同館に入社した。研究員として多くの生き物の飼育や研究に携わり、特に長い時間を共に過ごしたマンボウには思い入れも深い。

毎朝出社後の数分間をマンボウの水槽近くで過ごすことを日課としていたという。「見ていて癒やされるが、全国的に飼育例も少なく試行錯誤の日々だった。先駆者的な役割として他の水族館に情報提供することもあった」と振り返る。

3月からは最後の特別展「ザ・ファイナル~すべての皆さまに感謝を込めて~見て!知って!スタッフおススメの生きものたち」が開催されている。飼育員八人がそれぞれ厳選した58種約180匹の生き物を展示し、手書きの一言メモで特徴を紹介している。

特別展を企画した杉山弘樹さん(32)は平成21年に入社した。「初めて見たマンボウに強い印象を受けた」とし、13年目を数える現在はヒトデなど浅瀬の生き物を直接触ったりして楽しめる「タッチングプール」を主に担当している。

杉山さんの特別展の一押しは、泳ぐ姿がスペインの伝統舞踊フラメンコを思わせる「ミカドウミウシ」。「自分たちが最後に一番良く見せれる展示にしたかった。一歩踏み込んだ説明を加えて普段以上に興味を持ってもらいたい」と話す。

1月29日の営業休止発表以降、館内には多くの来場者が訪れているという。普段は閑散期の2月は平日も「週末並みの来場」で、120台の駐車場は常に満車状態。入場制限がかかる場合もあったことから、3月中は土、日曜と20日以降の全日程での営業時間を午後5時閉館から六時閉館に延長することを決めた。

現在バックヤードにいる約2千匹の生き物の譲渡先が決まっているという。残りも4月以降から本格的に調整に入るとしている。

館内に設置されたメッセージコーナーは来場者から寄せられた多くのメッセージで埋め尽くされている。里中館長は「メッセージを読むと愛されていたことをしみじみと感じる。感謝しかない」と語った。