三重県議会一般質問 知事、県対応を謝罪 内水面漁協への協力金で

三重県議会2月定例月会議は2日、西場信行(自民党、10期、多気郡選出)、東豊(草莽、3期、尾鷲市・北牟婁郡)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)、今井智広(公明党、4期、津市)、濱井初男(新政みえ、3期、多気郡)の5議員が一般質問した。桑員河川漁協の組合長(当時)が建設業者に「協力金」の名目で金銭を要求した事件に関連し、県当局は「県に協力金について相談しても知らないふりをされた」との不満が建設業者から寄せられたことを明らかにした。鈴木英敬知事は「極めて重く受け止め、深く反省している」と謝罪し、不当要求の根絶に努める考えを示した。

 

■国家特区指定に支援を ― 西場 信行議員(自民党)

最新技術を用いて「未来の生活」を実現する政府の国家戦略特区「スーパーシティ構想」に多気町内が指定されるよう、県に支援を要請。県当局は構想に関する国の動向を収集するなどし、指定に向けた支援を進めていると説明した。

【スーパーシティ構想】
西場議員 スーパーシティ構想の取り組みが全国で進んでいる。県内では多気町の商業リゾート施設「ヴィソン」を拠点に特区の申請に向けた作業が進められているが、県にも構想の実現に向けた役割を果たしてもらいたい。

福永戦略企画部長 国は来月16日まで提案を募集し、全国で5区域ほどが選定される予定。県は市町や高等教育機関、企業でつくる協議会にオブザーバーとして参加し、情報共有や相談の体制を整えている。最新の情報を収集するなどして積極的に支援する。

【斎宮跡】
西場議員 斎宮跡の住民でつくる協議会が、土地の公有化に向けた費用を増額するよう県と県教委に要請した。ここ数年、予算の減少幅は大きい。地権者からの買い取り請求も増える中で、公有化に向けた予算を増額すべき。

木平教育長 明和町は国と県の補助を活用して公有化を進め、令和元年までに73%を公有化している。公有化の予算は年度によって動きがあるのが実情。買い取りを希望する土地の件数や見込みなどを丁寧に聞き取り、地域の要望に応えられるよう取り組む。

 

■熊野古道指針、見直しを ― 東 豊議員(草莽)

熊野古道の保全活動や活用の指針をまとめた「アクションプログラム3」の見直しを提案。県当局はコロナ禍など社会環境の変化を踏まえて令和6年度の世界遺産登録20周年を見据えた見直しを進める考えを示した。

【熊野古道】
東議員 平成15年に熊野古道のアクションプログラムを作った。古道の保存と活用がメインテーマで、平成27年にはプログラムの3が出された。年数が相当たってきたので、社会情勢の変化を踏まえてぜひ新たなプログラムを作成するか、追記してほしい。

横田南部地域活性化局長 さまざまな社会環境の変化がある。具体的には、スペイン・バスク州との覚え書きの締結や新型コロナの収束後を見据えた取り組み、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応など。これらを反映した内容に見直す。

【産後ケア】
東議員 育児に不安のある人らを支援する産後ケアは充実してきたが、実はそれだけではよくない。宿泊型があまり利用されていない。現実には悩んでいる人が多いにもかかわらず、利用されていない。

大橋子ども・福祉部長 宿泊型を実施している施設の受け入れ可能月齢は4カ月以内としている施設がほとんど。産後ケア事業の対象期間を出産後1年とするには、予算措置だけでなく受け入れ施設の開拓が必要。関係団体と調整し、広域的な体制を整備する。

 

■建設業18社が協力金 ― 稲森 稔尚議員(草の根運動いが)

県当局は、桑員河川漁協の事件を受けて建設業者に実施したアンケートの結果を報告。回答した19社のうち18社が「(内水面漁協に)定率で協力金を支払っていた」と回答したことを明らかにした。

【不当要求】
稲森議員 桑員河川漁協の問題では、建設業者から「県に相談しても見て見ぬふりをされた」との声もあったが、建設業協会員でない業者に実施したアンケートの結果は。謝罪してこそ不当要求の根絶に向けて取り組めるのでは。

真弓県土整備部理事 アンケートに回答した19社のうち、18社が定率で協力金を支払っていた。協力金について県に相談した8社からは「知らないふりをされた」「受注者で対応するよう言われた」との不満があった。県として深く反省し、謝罪する。

【再発防止】
稲森議員 県が不当要求の根絶に取り組む姿勢を示しても、長年にわたって不当要求に悩まされた建設業者からは懐疑的な意見もある。180度の転換を信頼できなくても無理はない。知事が明確な決意を示すことが大切。

知事 協力金に苦悩した建設業者からの相談に十分な対応ができていなかったことに深くおわび申し上げる。県民の信頼を損なう事案が生じたことを極めて重く受け止め、深く反省している。新たな対策をゴールとせず、これまでの反省を生かして取り組む。

 

■県立大検討、結論時期は ― 今井 智広議員(公明党)

設置の是非が検討されている県立大学について、結論を出す時期を尋ねた。県当局は来年度前半に高校生や保護者を対象としたアンケート調査を実施し、同年度中に方向性の決定を目指す考えを示した。

【県立大学】
今井議員 県立大の設置の是非については、慎重かつスピード感を持って検討してもらう必要がある。進学を希望する生徒のニーズを調査すると聞くが、いつまでに決めるつもりか教えてほしい。

福永戦略企画部長 来年度中に方向性を導き出すことを目指す。県民のニーズをできるだけ早く把握するとともに、並行して有識者会議での議論を進める。有識者会議で円滑に議論してもらうため、本年度はニーズ調査の内容を検討し、他県の事例を調べている。

【就職】
今井議員 コロナ禍で企業の求人数が減り、高校卒業予定の内定者の中には思っていた通りの就職先にならなかった生徒がいる可能性もある。高卒者の離職率が上がってしまうのではないかと懸念している。これまで以上のサポートを。

木平教育長 本年度の卒業生に対して就職コーディネーターが訪問し、職場での様子を丁寧に確認する。場合によっては企業に配慮してもらう。特別支援学校では就職先を訪問して職場の様子を把握し、企業と相談するなど安心して働き続けられるよう一人一人の状況に応じて対応する

 

■ワクチン、丁寧対応を ― 濱井 初男議員(新政みえ)

新型コロナウイルスのワクチン接種に対する「不安が払拭されていない」と訴え、丁寧な対応を求めた。県当局は電話相談やウェブサイトを通じて迅速で分かりやすい情報提供に努めると説明した。

【ワクチン】
濱井議員 新型コロナのワクチンには疑問も多く、不安も払拭されていない。丁寧な対応が必要だと考えるが、情報発信や相談対応にどう取り組むか。接種の準備に当たる市町は前例なき対応に苦慮していると聞くが、県の対応は。

加太医療保健部長 まずは何より的確な情報提供が必要。ホットラインやポータルサイトを開設し、迅速に分かりやすく情報を発信できるよう努めている。市町とは毎週のオンライン会議で情報を共有しているほか、医師会とも緊密に連絡を取り合っている。

【サミット】
濱井議員 新型コロナ収束の兆しが見えず、県内で年内に開催予定の太平洋・島サミットの日程は未定となっている。開催準備の状況は。県が開設したSNS(会員制交流サイト)のフォロワーは少ないが、どう機運を醸成するのか。

島上雇用経済部長 具体的な日程の決定には至っていないが、関係省庁の局長級で構成する推進会議が開かれるなど、準備は着々と進んでいる。県は太平洋島しょ国出身の選手が活躍するラグビーチームの協力を得るなど、新たな層への波及にも取り組んでいる。

 

<記者席 ― 記憶力は健在>

○…「いつものテーマです。執行部の皆さん安心してお聞きください」と切り出して笑いを誘った西場議員。この日も大杉谷峡谷の魅力発信や宮川の流量回復といった恒例の質問を用意していた。

○…ところが、県が採用予定のCDO(最高デジタル責任者)に「全庁的に強い権限を持つのは、あまり良いイメージではない」と突然の苦言。想定外の事態に執行部も「安心」できない様子だった。

○…東議員は突如として鈴木知事にクイズを出題。懐かしい顔ぶれの職員らと県庁の会議室で卓を囲む鈴木知事の写真を示して「いつごろ何の話をしたものでしょう」と尋ねた。

○…鈴木知事が「平成24年に東大の羽藤先生に災害に備えた都市計画について説明してもらった場面」と答えると、東議員は「そこまで記憶が正確とは」。年を重ねても記憶力は健在らしい。