忍びの要素、現代でも重要 三重大山田教授、本紙政経懇話会で講演 三重

【講演する山田教授=津市大門の市センターパレスで】

【津】伊勢新聞政経懇話会2月例会が26日、三重県津市大門の市センターパレスであった。三重大学人文学部教授で同大国際忍者研究センター副センター長の山田雄司氏(53)が「現代に活かす忍術」と題して講演し、「忍びに必要な要素は現代人にとっても重要」と述べた。

山田氏は「忍者の仕事は戦うことではなく情報を収集し主君に伝えること」と述べ、最も古い史料で南北朝時代の「太平記」に忍者が登場するとして「戦国時代は諜報活動、江戸時代は城下の治安維持など時代と共に仕事内容が変わってきた」と解説。「手裏剣、くノ一、黒装束などの記録は一つもなく、歌舞伎や映像をきっかけに作られたもの」と説明した。

江戸時代の忍術書「万川集海」や「用間加條伝目口義」などに書かれた忍びに必要な要素として、柔和で義理に厚い▽話が上手▽諸国の情報に詳しい▽芸達者―などを紹介。話を聞き出すためのコミュニケーション術や常日頃から知り合いをたくさん作っておくことなどは「現代人にも通じる」と強調した。

また刃の下に心と書く「忍」の字を「胸に刃を当て決断する心。どんな状況でもこらえ忍ぶ心持ち」と解説。コロナ禍の現状と重ね「一人一人が『忍』を実践すれば和が生まれ平和がもたらされる」と語った。

山田氏は静岡県沼津市生まれ。京都大文学部から筑波大大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。専門は日本古代・中世信仰史。