三重県議会 「三重の塔」慰霊式、県主催に 遺族高齢化で来年度から

県議会2月定例月会議は25日、舟橋裕幸(新政みえ、7期、津市選出)、中森博文(自民党県議団、5期、名張市)、中川正美(自民党、10期、伊勢市)、長田隆尚(草莽、4期、亀山市)の4議員が代表質問した。鈴木英敬知事は、県遺族会が沖縄県の「三重の塔」で開いている慰霊式を来年度から県主催行事とすると表明した。遺族の高齢化などが理由。中森議員への答弁で明らかにした。
■デジタル推進詳細は ― 舟橋 裕幸議員(新政みえ)
新年度に新設される「デジタル社会推進局」の詳細を尋ねた。鈴木知事は任期付職員として採用する「最高デジタル責任者(CDO)」と「デジタル社会推進局長」の兼務を検討する考えを示した。

【CDO】
舟橋議員 新年度にデジタル社会推進局が設置される。県のデジタル社会構築に向けた知事の考えや推進局を設置する必要性を聞きたい。

知事 利便性の向上を追求するだけなく地方創生の理念を具体化することがデジタル社会の形成で必要な視点。新型コロナウイルスに対応する中、社会全体でデジタル化の遅れが明らかになり、県としても最優先課題の一つとして取り組む必要がある。民間企業や各種団体と連携し、デジタル社会を実現するには司令塔となる組織が必要になる。

【財政状況】
舟橋議員 稲垣副知事は平成20年秋のリーマン・ショック時、総務部で財政分野を担当していた。当時と現在のコロナ禍の財政状況を比較した場合、稲垣副知事の肌感覚や財政運営の考えを聞きたい。

稲垣副知事 新型コロナの感染拡大で多くの職種が厳しい状況にある一方、好調な業種や影響が軽微な業種もある。県税収入の落ち込みはリーマン・ショック時には及ばないと見込む。しかし、社会生活・経済全体への影響はリーマンを超えるものと感じている。予断を許さない状況が続く。
■特措法の知事評価は ― 中森 博文議員(自民党県議団)
 新型コロナ対応の特措法改正で知事の権限が強化されたことの評価と課題を尋ねた。鈴木知事は「地域の感染状況を考慮した措置ができる」と評価しつつ、権限行使には「慎重な対応が必要」との認識を示した。

【権限強化】
中森議員 想定外の事態に備えて憲法に緊急時の条項を設けるかどうかの議論を進めるべきだとの声がある。国は新型コロナ対応の特措法に「まん延防止等重点措置」を盛り込むなどして都道府県知事の権限を強化したが、評価と課題は。

知事 感染状況は都市部と地方で異なるため、知事の判断が重要。地域の感染状況を考慮した措置を講じられるようになったことは評価できる。一方、自由や権利の制限につながることもあるため、専門家の意見を伺いながら慎重に対応する必要がある。

【慰霊式】
中森議員 昨年11月に建立55周年を迎えた沖縄県の「三重の塔」で開かれた県出身者の慰霊式に参加したところ、遺族会の皆さんから「高齢化により、われわれでは今後とても続けられない」との声があった。県が主催すべき。

知事 近年では遺族の高齢化などを理由に主催者を遺族会から県に変更した例もある。三重でも遺族会が県主催とすることも含めて運営の支援を求めていた。戦争の悲惨さと平和の尊さを継承する責務があると考え、令和3年度からは県主催で開く。
■外国人への情報、工夫を ― 中川 正美議員(自民党)
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、言葉の壁や慣習の違いで注意喚起が伝わりにくい外国人住民への情報発信の工夫を尋ねた。県当局は、知事からのメッセージ動画を多言語情報ホームページで発信する考えを示した。

【外国人住民】
 中川議員 クラスターが発生した中には外国人住民の間で起きているケースもあると聞く。正しい情報が十分に届いていない可能性がある。命に関わるため、行政からの情報が行き渡るようにすることが必要。

岡村環境生活部長 外国人住民への情報発信は、分かりやすい日本語やイラストを使うなど工夫を重ねてきた。今後はSNSで外国人住民に直接、情報を届ける形で発信する。一人でも多くの外国人住民に適切な情報が届くよう努める。

【三重とこわか国体】
 中川議員 三重とこわか国体では、天皇杯・皇后杯の獲得は外せない。コロナ禍で選手らは自分たちの実力を正しく把握できず、十分な強化活動ができていない。今後のスポーツ振興にはどのように生かすのか。

知事 国体に代わる同レベルの全国大会で選手の実力を評価し、その結果に応じて課題を明らかにしている。これまでの大会実績では、ウエイトリフティングやレスリングで優勝するなど明るい材料も出始めている。選手生活を終えた後も後進を育て、県民と交流するなどスポーツ振興に一役買ってほしい。
■リニア駅誘致、今後は? ― 長田 隆尚議員(草莽)
 亀山市がリニア中央新幹線の県内駅を誘致する意向を示したことを受けた今後の予定を尋ねた。鈴木知事はアクセス性や波及効果を分析した上で、来年中には建設促進県期成同盟会の決議を経てJR東海に要望する考えを示した。

【リニア】
長田議員 県内では亀山市だけがリニア中央新幹線の県内駅設置の意向を示したが、今後のスケジュールは。円滑な実施に当たっては県民の理解が重要だが、まだまだ認識されている状況ではない。機運醸成に向けて、どう取り組むか。

知事 駅候補地案のアクセス性や県全域への波及効果などを分析・評価してもらい、市町と検討を重ね、令和4年中には県同盟会総会の決議を経てJR東海への要望につなげたい。リニア開業時に社会人となる若い世代をターゲットとした啓発を新たに進める。

【経営向上】
長田議員 昨年に休廃業した県内企業は前年比32件増の564件となった。コロナを機に廃業を考える企業も少なくない。県中小企業支援ネットワークと他の組織が連携して中小企業の倒産に至らない対策を打つべき。

島上雇用経済部長 県中小企業支援ネットワークや県事業承継・引き継ぎ支援センターといった支援組織の連携を深める。それぞれの専門性を十分に発揮し、個々の中小企業と小規模企業に寄り添った経営改善や業態転換、事業承継を支援したい。


<記者席 ― 乱歩より難解?>
 ○…寒いギャグで知られる中森議員。この日は名張市で生まれた推理小説家の江戸川乱歩について語り、お決まりの「一句」は見送りかと思われた。

○…ところが、終わり際に「乱歩の名言は難しいものが多い。私から分かりやすい一句を」と誘導して「とこわかで乱歩謎解き三重の夢」。乱歩の名言よりも難解な一句に議場は凍り付いた。

○…中川議員は令和15年の伊勢神宮式年遷宮では82歳になっていると紹介。「ぜひとも行きたい」と意欲を示し「12年後にみんな元気で訪れられることを願う」。

○…その思いを表すために中川議員が披露したのは松尾芭蕉の一句「尊さに皆おしあひぬ御遷宮」。俳聖の一句で少し暖まったか。