津の自治会長ら逮捕 市の補助金詐取疑い 三重

【田邊容疑者の住居から資料を押収する捜査員=津市中河原で】

三重県津市の自治会長が塗装業者と共謀し、自治会掲示板の設置を巡って市にうその申請書を提出し、補助金13万円をだまし取ったとして、津署は24日、詐欺の疑いで、同市中河原、相生町自治会長で無職田邊哲司(60)と同市雲出伊倉津町、塗装業増田宏和(38)の両容疑者を逮捕した。

逮捕容疑は平成29年12月27日、自治会が設置した2基の掲示板の設置を巡り、偽の領収書で市職員をだまし、補助金13万円を指定口座に振り込ませてだまし取った疑い。署は両容疑者の認否を明らかにしていない。

同署などによると、偽の領収書は増田容疑者が当時経営していた「増田塗装」の名で作られており、印鑑も押されている。増田塗装は「掲示板新設工事代金」の名目で26万5032円を相生町自治会に請求していた。

署などによると、掲示板2基は設置されたが、領収書記載の約26万5千円という金額は虚偽という。署は実額を明らかにしていない。また、田邊容疑者の依頼を受け、市職員が掲示板を設置した疑いもあり、署は詳しい経緯を調べている。

この事件を巡っては、市幹部が田邊容疑者に協力し、補助金詐取が行われていた疑いなどがあるとして、市議会の調査特別委員会(百条委員会)が立ち上がっており、掲示板のほか、ごみ箱や防犯灯など複数の補助金支出に絡む疑惑が浮上していた。

市は今月5日、掲示板と自治会設置のごみ箱に対する補助金を詐取された疑いがあるとして、田邊容疑者を詐欺容疑で同署に告訴。署は職員の関与も含め「余罪については捜査中」としている。

■掲示板補助金、実際は職員■

津市の相生町自治会長、田邊哲司容疑者(60)らが逮捕された補助金詐取事件で、自治会が市に申請した4件の申請で、領収書を作成した業者は全て逮捕された増田宏和容疑者(38)だったことが市への公文書開示請求で判明した。だが、少なくともそのうちの1件は市職員が田邊容疑者に頼まれて掲示板を修繕している。修繕した職員が伊勢新聞の取材に応じ、証言した。県警は田邊容疑者が実際には市職員に掲示板の修繕などを依頼しながら、業者が行ったように偽装した可能性もあるとみて詳しい経緯を捜査している。

市によると、掲示板設置の補助金は6万5千円を上限とし、経費の2分の1まで支出できる。新設と修繕が対象という。同自治会は平成26年度から29年度までに計4件申請。増田容疑者は1基あたり13万円余りの領収書を作成した。市は4件全てで限度額を支出し、自治会は計26万円を受け取った。

この職員は26年度、田邊容疑者に業務時間内に掲示板2基の修繕を依頼されたという。費用は2基で5、6千円だったといい、職員は「自治会長が補助金を申請していたことを知らなかった」と話した。

関係者によると、今回逮捕された29年度分の補助金でも、別の市職員が自治会長に頼まれて新設した疑いがあるという。県警は今のところ、増田容疑者が作成した領収書の金額がうそだったとしか明らかにしていないが、実際には田邊容疑者が市職員に修繕や新設を依頼する一方、塗装業の増田容疑者が工事したように装った可能性もあるとみて詳しい経緯を捜査している。