<検証・県予算>ICT教育・タブレット配布 準備遅れで市町に格差

【ICT教育の導入に向けたオンライン会議=津市大谷町で】

新年度、ICT(情報通信技術)教育が全国で始まる。三重県教委はその流れに合わせて学習用のタブレット端末を使った学力調査に乗り出すとともに、端末を生かした授業の準備が遅れている市町を支援する。

きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う昨年3月の一斉休校。政府が令和5年度までの実現を目標とした「GIGAスクール構想」が急きょ前倒しされ、小中学生は3年度から端末を使った授業に臨む。

2年度中は、各市町が学習用のタブレット端末の配備や校内のインターネット接続環境などハード面を整備。県教委は教員の技術向上や情報共有の仕組みなどソフト面での準備を進めてきた。

パソコンの操作はできても、端末には不慣れな教員もいる。県教委はコロナ禍の中、オンライン研修や会議を実施。基本的な操作から始まり、端末を生かした授業の企画など、ICT教育の対応に追われた。

新年度に向け、教員が使う設備のICT化も進む。県教委は今月に入り、市町教委に有用な教材データをクラウド上で共有するよう通達した。小中学校教育課は「教員同士で教材を改善し合える」と期待する。

教育現場で急ピッチで準備が進む中、県教委は毎年実施している独自の学力調査「みえスタディ・チェック」の出題や解答にも、この端末を活用する方針。関連予算として約1200万円を計上した。

実力に合った難易度の問題を出したり、解答の直後に答え合わせができることがメリットだという。学力向上推進プロジェクトチームは「主体的な学びにつながる」と期待する。

ただ、準備が万全とは言い切れない。県内の市町では、菰野町だけが年度初めまでにタブレット端末がそろわない見通し。全国的に端末の需要が増したことで供給が追いつかなかったことが理由という。

ICT教育の担当者などからは市町教委ごとの差を危惧する声もある。研修推進課は「大きい市は予算や人員に余裕があるが、小さい市町は複数の担当を抱えているので準備が進みづらい」と指摘する。

県教委は市町間の“格差”を補うため、新年度は教員向けのICT教育に関する研修をさらに充実させる方針。端末を使った標準的な授業内容を紹介しつつ、市町の準備状況に合わせて個別に対応する。

さらに、4―5月中に小中学校の各学年が実施する授業を想定した指導案を示し、教員が端末を使った授業内容を考案するのを支援。ICT教育のアドバイザーも1人増員し、3人体制とする。

とはいえ、端末の操作ばかりに注視しては本来の授業が成り立たない。小中学校教育課は「使うことが目的になっては本末転倒。端末を使うことで主体的で深い学びを実現させたい」としている。