<まる見えリポート>緊急警戒宣言から1週間 時短対象拡大求める声 三重

【緊急警戒宣言中の津駅周辺=津市羽所町で】

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、三重県が独自の緊急警戒宣言を県全域に発出してから25日で1週間がたつ。営業時短要請の対象となった3市では多くの飲食店が要請に従い、夜の繁華街は静まりかえっている。一方、時短要請エリア外の飲食店や一部の市長からは、対象地域の拡大を求める声が上がる。時短要請に伴う協力金で売上げの減少を賄いたいとの思いがあるようだが、県に対象拡大の予定はない。時短要請エリアに限らず、多くの事業者が〝自粛ムード〟の影響で厳しい経営状況を強いられている。

県が営業時短を要請しているのは、四日市市、桑名市、鈴鹿市の3市で酒を提供したり、接待をしたりする飲食店。来月7日までの全期間で要請に応じた店舗には、県が84万円の協力金を支給する。

「パトロールの結果を踏まえると、3市の店舗はおおむね県の要請に従っているようだ」と県の担当者。一部の店舗は酒類の提供を止めて午後9時以降も営業を続けているが、これも要請通りの対応だ。

一方、県飲食業生活衛生同業組合などの3団体は18日、「営業時短要請の出ている地域から津市以南に客が来る可能性がある」として、津市を要請の対象に加えるよう求める嘆願書を県に提出した。

「県全体で要請を出さないと、感染抑止の効果はないのでは」と組合の中田正巳理事長。津市の飲食店からは「なぜ県庁所在地の津市を時短要請の対象地域から外したのか」との声が相次いでいるという。

関西圏とのつながりが強い伊賀市の感染状況も深刻だ。年明け以降に発表された市内の感染者は70人で四日市市の71人とほぼ同数。市内の工場では大規模なクラスター(感染者集団)も発生した。

岡本栄市長は取材に「伊賀市も営業時短要請の対象地域に加えるべきだ」と主張。3市での営業時短要請に当たって県から事前に連絡を受けた際には「3市に限定しての要請ありきだった」と明かす。

■  ■

これらの声が相次ぐ背景には協力金の存在がある。もちろん、協力金は事業者への経営支援が目的ではない。時短要請も、愛知、岐阜両県に発令された緊急事態宣言や地域の感染状況を踏まえた対応だ。

ただ、そういった経緯を把握していても、対象地域の拡大を求める声は強い。津市で飲食店を営む男性は「時短エリア外でも自粛ムードが強すぎる。店を閉めて協力金をもらった方がましだ」と話す。

一方、新型コロナウイルス対策本部の担当者は「現時点で時短要請の対象地域を広げる予定はない」と説明。緊急警戒宣言の発出時に比べて「感染状況が少し落ち着いてきている」ことが理由だという。

県も事業者の窮状を見放しているわけではない。19日には、中小事業者への「緊急支援パッケージ」を公表。「新たな日常」に向けて業態転換を図ろうとする事業者に対し、補助金を支出する方針だ。

ただ、この補助金はテークアウトの導入や感染防止対策の設備投資といった新たな支出が条件となる見通しで、損失の補てんには使えない。金額の上限も「数10万円程度」(関係者)にとどまるという。

県は融資による支援も計画するが、後継者問題を抱える事業者にとって融資の申請は厳しい判断となる。県内の事業者は感染収束まで持ちこたえることができるか。「新たな一手」が求められている。