「立場を利用」 恐喝未遂の漁協前組合長に有罪 懲役2年執行猶予4年 三重

漁協組合長の立場を悪用し、三重県桑名市で宅地開発工事を計画していた不動産会社から工事の承諾をする見返りに寄付金名目で金を脅し取ろうとしたなどとして、恐喝未遂と強要未遂の罪に問われた桑員河川漁協の前組合長、川﨑幸治被告(61)の公判が24日、津地裁四日市支部であり、濵口紗織裁判官は懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。川﨑被告は無罪を主張しており、即日控訴した。

判決によると、川﨑被告は平成30年11月、東員町の漁協事務所で、被害業者に「工事には寄付金を出してもらっている。200万円でいいけど地元の業者を使え」と脅し、現金200万円と自身が勤める川﨑建設などを下請け業者として使うよう要求した。

昨年4月にも業者に対し、業者が開発工事を計画していた同市蓮花寺で開発工事をしている別の業者名を複数出し「言うことを聞かないもんで工事が停滞している。俺の言うことを聞かんと工事が止まるぞ」と脅し、現金と下請け参入を再度要求した。

判決理由で濵口裁判官は事件の背景として「業者は開発許可を行う桑名市の担当者から漁協の承諾を求められた。(川﨑被告は)事実上、開発工事の承諾ができる立場だった」と指摘。その上で「立場を利用した悪質な犯罪。不合理な弁解に終始し、反省の態度が見られず、再犯の恐れも否定できない」と非難した。
■桑名市関与、裁判所が認定 業者、前組合長と市の板挟み
開発工事の許可に漁協の承諾が必要ないにもかかわらず、桑名市が不動産会社に漁協の承諾を得るよう求めたことで恐喝未遂事件が起きたことを裁判所が認定した。判決を受け、市は25日、市役所で会見を開く。事実上の謝罪会見になる見込みだ。

判決理由で裁判官が指摘したとおり、員弁川に漁業権を持つ漁協組合長の立場を悪用した犯罪だった。市が業者から漁協の承諾を得るよう求めた根拠もそこにある。開発工事をしたい業者は、恐喝を行う川﨑被告と市の間で板挟みになり、被害に遭った格好だ。

業者に漁協の承諾を求めた経緯について、市は平成24年に県議会で採択された請願を理由に挙げている。県がこの請願に基づき、開発工事などを行う業者に対し、漁業団体との合意形成を求め始めたことに倣ったという。環境保護の理念で採択された請願だが、使い方次第では恐喝行為の手段に用いられることが事件を通じて明らかになった。

市はこの請願に基づく行政指導を他の業者にも行っている。そのうち少なくとも1件の業者は、公判で川﨑被告が「500万円を出した」と紹介した企業だ。論告で検察側は川﨑被告が長年にわたり「多数の業者に金を支払わせた」と指摘した。今回の事件は氷山の一角ではないか。市には行政指導を行った者の責任として被害の実態調査に乗り出すことが求められている。

今後の対応に注目が集まるのは県も同様だ。県発注工事を巡り、川﨑被告が県警に恐喝容疑で逮捕された事件を受け、県は実態の解明に努めている。これまでの調査で複数の不当要求があったことが判明した。いずれも県が業者に漁協へ工事説明に行くよう指示したことが原因というが、県はいまだ業者への謝罪意思を示していない。

今回の事件を受け、業者に謝罪する意向を示し、再発防止に取り組もうとする桑名市の姿勢を県も見習うべきではないか。