三重県議会一般質問 科捜研移転、集約へ 県警本部外に、新築も視野

三重県議会11月定例月会議は2日、川口円(新政みえ、1期、津市選出)、山本佐知子(自民党県議団、1期、桑名市・桑名郡)、藤田宜三(新政みえ、4期、鈴鹿市)、中嶋年規(自民党県議団、5期、志摩市)の4議員が一般質問した。県警は、科学捜査研究所を本部の敷地外に移転する考えを示した。本部内の4カ所に分散して手狭になっている科捜研を集約したい考え。新築も視野に、測量などの調査費を要求している。岡素彦本部長が藤田議員への答弁で明らかにした。


■コロナ禍の避難所は ― 川口 円議員(新政みえ)

新型コロナウイルスの感染防止対策として避難所のスペースを確保した場合、現状の収容人数で対応できるのかを尋ねた。県当局は想定を上回る収容人数を確保しているとしつつ、分散避難や広域避難を進める考えを示した。

【避難所】
川口議員 コロナ禍の避難所ではフィジカルディスタンス(身体的距離)を確保するため、大幅に収容人数を削減して運営することになると思う。コロナ禍で大規模地震が発生した際、避難所の収容人数は充足しているのか。

日沖防災対策部長 市町の避難所は1500カ所、収容人数は64万5千人で被害想定の避難者数を上回っているが、コロナ禍でスペースの確保が必要。分散避難や広域避難に向けた取り組みを進めている。市町にはあらためて収容人数の見直しを促す。

【特殊詐欺】
川口議員 電話をかけて指定した口座に現金を振り込ませる「特殊詐欺」の件数と被害額が増えている。高齢者が被害を受けるケースが多い。コロナ禍で家にいることが多い高齢者に情報を伝えるための方法や犯罪抑止対策は。

岡県警本部長 マスコミを通じて事件の実態を知らせ、動画やチラシ、ヤフーの防災速報なども活用しているが、全ての高齢者に届くとは思っていない。警察官の訪問や金融機関による声かけもしている。決め手はないが、さまざまな方法で被害を食い止める。


■ヤード条例の方向性 ― 山本 佐知子議員(自民党県議団)

盗難車や密輸の温床となる中古車解体施設「ヤード」を規制するために策定中の条例案の方向性を尋ねた。県警は自動車解体業者を対象に届け出を義務付け、違反業者には営業停止命令を出すなどの規定を設ける考えを示した。

【ヤード条例】
山本議員 せっかく新しい条例を制定するのであれば、県の実情に合ったものを作ってほしい。愛知県の条例は隣である以上、一番参考になるかもしれない。他県の条例を研究し、対応してほしい。どのような条例を検討しているのか。

岡県警本部長 自動車解体業者を対象に所定の事項を届けてもらった上で、自動車を買い取る際に取引相手の確認や取引記録の作成を義務付ける。立ち入り権限や違反した場合に停止命令を出すなどの規定も設ける。保管場所に積まれた自動車も記録作成の対象にしたい。

【潜在看護師】
山本議員 コロナ禍で潜在看護師が保健所やクラスター対応で活躍している。潜在看護師登録制度で届け出は努力義務化された。制度の強化のために登録をさらに推進すべき。

加太医療保健部長 コロナ禍で十数人の潜在看護師に復職してもらっている。災害時の人材確保になるので、県としても積極的に活用したい。リーフレットを配布し、郡市医師会単位で開催される社会保険集団指導の会議を通じて病院による届け出の支援を促す。
■CDOに民間人材を ― 藤田 宜三議員(新政みえ)
県が来年度に設置するデジタル社会推進局(仮称)のトップに据える最高デジタル責任者(CDO)について、民間人材の登用を提案。知事は「官民問わず適任者を探す」と述べた。

【CDO】
藤田議員 CDOは日進月歩の発展を見せるデジタルの現状を知っていて、行政の課題を見据えた戦略を立案し、実行していく専門性を持った人材が求められる。どんな人材を登用するのか。民間人材を活用してもいいのではないか。

知事 CDOには専門性だけでなく、縦割りを打破する突破力や部局を横断した調整力、県民に理解を促すための発信力といった資質が求められる。官民問わず適任者を探したい。職員についても、民間からの人材受け入れを積極的に検討する。

【科学捜査研究所】
藤田議員 県警本部の科学捜査研究所(科捜研)は大変厳しい環境の中で、科学的な鑑定をしている。なんとしても施設の整備が必要。科捜研の整備を考えているのか。場所は県警本部のある津市に限定する必要はないのではないか。

岡県警本部長 会議室や執務室を転用してきたが、もともとはオフィスで実験室ではないため、限界に達している。将来できるだけ早い時期に別庁舎に移せないかと考えている。必ずしも県警本部の近くに置く必要はないが、用地交渉などの観点から県有地が望ましいと考えている。
■新型ウイルス対応は ― 中嶋 年規議員(自民党県議団)
「知事には危機管理能力が強く求められる」とし、新型コロナウイルス対応の姿勢を尋ねた。鈴木知事は他の自然災害と同様に「平時からの備えと信頼関係」を重視した対応の重要性を説いた。

【危機管理】
中嶋議員 知事は就任直後から自然災害に対する危機管理が迅速で、実効性が高いと評価している。新型コロナの対応でも迅速な対応をしているが、地震や大雨などとは異なる「見えない敵」にどう対応してきたか。

知事 徹底的な初動対応▽空振りや朝令暮改を恐れない▽現場の自治を大切にする―など、基本を忠実に実行してきた。平時からの備えと信頼関係が大切だと痛感している。今後も平時から備えを怠らず、オール三重の強い結束力で迅速かつ的確な対応に努める。

【麻酔科医】
中嶋議員 三重大医学部付属病院のカルテ改ざんによる診療報酬の不正請求が発覚し、麻酔科医が不足している。まずは三重大の努力に期待するが、県はどう支援するのか。三重大との連携を密にして取り組んでほしい。

加太医療保健部長 県内は人口に占める麻酔科医の割合が全国最下位で、大量退職は重要な課題。大学病院が研修や研究の魅力を取り戻し、指導体制を早期に回復することが大切。県としても三重大の研修プログラムが早期に再開されるよう支援したい。
<記者席>知事答弁は必要なし?
○…簡潔明瞭な答弁で知られる岡県警本部長は、この日も絶好調。ヤード条例について尋ねた山本議員は「知事に聞こうと思っていたが、飛ばしてしまった」と明かした。

○…というのも「本部長の回答が自分が想像していた以上に多くの実りがあったので、舞い上がってしまった」そうな。知事が答弁する必要がなくなる日も近い?

○…知事の危機管理能力を「高い」と賛美した中嶋議員に対し、知事は「大変に評価をいただき感謝を申し上げます。それを励みに気を引き締めて危機管理に当たります」と機嫌良さげに答弁した。

○…そのころ、県庁8階の雇用経済部では「全職員が検査対象になった」と大騒ぎになり、大勢の職員が検体の採取を受けていた。県の危機管理を評価するのは、いささか時期尚早ではなかったか。