<四日市市政の課題>近鉄・JR四日市駅周辺整備 「バスタ」起爆剤に

【バスタ事業が検討されている近鉄四日市駅東側。昼間も人通りが少ない=四日市市諏訪栄町で】

任期満了(12月23日)に伴う三重県の四日市市長選は11月22日に告示、同29日に投開票される。今のところ再選を目指す現職の森智広氏(42)=1期、水沢町=だけが立候補を表明している。市長選を前に、市政の課題を探った。

近鉄四日市駅周辺を含む市の中心市街地から、かつてのにぎわいが失われて久しい。同駅周辺では、東側の一番街商店街にあったジャスコ撤退(平成14年)で郊外に大型商業施設が進出し、駅前商店街衰退の流れが加速。西側では駅前の一等地にもかかわらず、松坂屋撤退(同13年)からアピタ出店まで4年もの空白期間が生じた経緯があり、高層マンションや居酒屋が増えた商店街の「昼間のにぎわいはまだまだ課題」(森氏)となっている。JR四日市駅周辺に至っては、昼間の人通りがほとんどなく、30万人都市の中核駅とは思えないほど寂れている。

そんな中、今年6月、市が長年課題として来た中心市街地再活性化の実現に向け、大きな端緒となり得る発表が行われた。市が近鉄四日市駅周辺に設置予定のバスターミナル(分散するバス停を集約)が、国が進める「バスタプロジェクト」の一大交通拠点「バスタ」の候補地に選ばれたとの内容だ。

このプロジェクトは、点在するバスやタクシーの施設を集約して国指定の道路構造物として「バスタ」を全国約百ケ所に設置する。運営や商業施設整備は民間で行って活性化。「バスタ」同士を高速バスなどでつなぐことで、交通利便性を生かした「広域交通ゲートウェイ」を創出する事業だ。国は「バスタ新宿」設置を皮切りに全国展開を進めており、市も「近鉄四日市駅バスターミナル検討部会」と「中央通り再編関係者調整会議」を設置。事業化実現を目指して検討を開始した。

発表会見は森氏と三重河川国道事務所の秋葉雅章所長が並んで行った。森氏は「町をグレードアップし、2027年リニア中央新幹線開通のインパクトを享受したい。国の直轄事業になれば再開発の力が増すので、国道1号線西側の『バスタ』設置の動きを東側へも波及させ、中心市街地を劇的に活性化したい」と述べたが、市民にとっては、市が再活性化に向けた最後のチャンスと捉え、背水の陣で臨んでもらいたいとの思いだろう。

老朽化した市立図書館(同市久保田)の移転場所を巡っても、議会を巻き込んでの紆余(うよ)曲折があったが、今年1月に近鉄駅前の同市諏訪栄町の専門店ビル建て替えで整備することが決まった。森氏は「近鉄駅前へのペデストリアンデッキ(高架歩道)設置、JR駅前整備、スターアイランド跡地への図書館移転など、一体で進める」とし、「今までと全く違う空間になれば、市民の誇りの醸成につながる」と語った。

同市の中心市街地を「三重の玄関口になり得る。皆が集まって活動して行く流れができる」(秋葉所長)とみる国の期待と、かつてのようなにぎわいを取り戻したいという市民の願いに応え、森氏自身が言うように「降り立った瞬間にすごいなと思えるような空間に」(森氏)できるかが、新市長には問われる。税収増で市が(国から地方交付税の交付を受けない)不交付団体となっている今、バスタプロジェクトを起爆剤に、中心市街地活性化をいかに実現するかが、新市長にとって最大の課題となりそうだ。