伊勢市 視覚障害者に観光ガイド ウェブカメラで実証実験 三重

【頭に小型ウェブカメラを付け皇學館大生の遠隔ガイドの声を聞きながら散策する村井さん(中央)=伊勢市の伊勢神宮内宮周辺で】

【伊勢】視覚に障害がある人に観光を楽しんでもらうための新しいツールとして、三重県伊勢市が、小型ウェブカメラを使った遠隔観光ガイドの実用を検討している。9日には、伊勢神宮内宮周辺のおはらい町やおかげ横丁で、視覚に障害がある人に実際に遠隔ガイドを体験してもらう実証実験があった。

同市は東京五輪・パラリンピックを機に共生社会の実現を目指す「共生社会ホストタウン」の取り組みとして、ユニバーサルデザインのまちづくりに力を入れている。今回の取り組みもその一環。

情報通信サービス会社「リモートアシスト」(大阪府茨木市)が手掛ける視覚障害者向けの「遠隔支援カメラシステム」を活用。視覚障害者に、独自の小型カメラと専用送信機を着けてもらい、そのカメラで捉えた映像を見ながら遠隔サポーター(ボランティア)がリアルタイムで情報を伝える仕組みで、双方向の会話もできる。同社は、郵便物や印刷物の代読といった主に家庭内での困りごとサポートとしてサービスを提供していて、屋外で観光案内に活用するのは初めての試みという。

実証実験には、市内の視覚障害者2人が協力。地元の皇學館大生5人が、遠隔ガイド役と、安全のため歩行の誘導役に分かれてサポートした。障害者らは、小型カメラをこめかみの辺りに付け、イヤホンとマイクも装着し、誘導役の学生と一緒におはらい町を散策。遠隔ガイド役の学生は、近くの神宮会館の一室で、パソコン画面に映し出されたカメラの映像を見ながら「そこを右に曲がってください」「五十鈴川の音が聞こえますか」「大きな招き猫があるので触ってみてください」などと声で案内した。

参加した視覚に障害がある村井正治さん(75)は「カメラは軽く付けている感覚は少ない。実際のガイドに同行してもらうより、自分の好きな場所に自由に行くことができるようでわくわくした」と話していた。

市観光振興課の太田徹主事は「通信面や安全面、需要の調査を含め、課題を一つ一つ解決していく必要がある。コロナ禍も踏まえ、遠隔コミュニケーションのメリットを生かし、実用化に向け検討を続けたい」と話した。実証実験は11日にも実施する予定。