ここでしか食べられない料理を 「現代の名工」吉田功さん(61)四日市の料亭旅館「大正館」総料理長 三重

【「ここだけでしか食べられない料理を出したい」と語る吉田さん=四日市市西新地で】

三重県四日市市西新地の料亭旅館「大正館」の総料理長を務めて約30年。「ここでしか食べられない料理」で政界や芸能界、角界などの舌をうならせてきた。「現代の名工」に選ばれて「夢のよう」と喜ぶ。

大阪市出身。中学卒業後は大阪の高級料亭「南地大和屋」で修行し、上方料理の第一人者とされる故・鈴木忠英氏から日本料理を学んだ。同市や岡山県倉敷市のレストランなどで勤め、30歳で大正館の総料理長となった。

就任時は「自分に務まるのか」と不安を抱くも「大阪を出たからには名を上げる」と意気込み、おかみや社長に認められたい一心で研さんを積んだ。おかみからの注文には全て応え、時には中華料理や洋食も振る舞う。

常に新たな料理を考えている。10年ほど前には、タイを骨ごと食べられるように漢方薬で煮る調理法を考案したことも。「どこにでもある料理では駄目。ここでしか食べられない料理でお客さんをびっくりさせたい」と話す。

「三重の食材は日本一だから使うのは当たり前」とし、提供する料理には伊勢エビやアワビ、ハマグリ、松阪牛といった県産食材をふんだんに使う。「料理人は人の命を預かっている」と考え、食べる人に合わせた料理を作る。

「現代の名工」に選ばれて「職人として一つ認められた」と喜びつつ「ここからが試練」と気を引き締める。「四季の彩りを演出できるのが日本料理の魅力」と話し、料理長などとして巣立った約30人の弟子らにも期待する。