<伊賀市政の課題・上>合併時の“課題”覆す 経費削減、自治会長強く反対

【令和3年度末に廃止される島ケ原支所=伊賀市島ケ原で】

6市町の合併から16年が経過した伊賀市は、旧市町村ごとの支所を令和3年度末で廃止する方針だ。人口減少時代を見据えた
行政コストの削減が目的だが、いわば合併時の“約束”を覆した形だ。

支所は「旧市町村の区域ごとに設置する」という合併時の新市建設計画に基づき、旧市町村ごとに置かれてきた。住民票の写しや戸籍謄本などを受け取ることができ、地域の住民らが利用している。

一方、市は令和3年度末に6支所を全て廃止し、北部と南部に一つずつ「地域振興センター」を設置する方針だ。センターは証明書発行などの窓口業務や災害時の防災拠点などの役割を担うという。

支所を廃止する主な目的は、経費の削減だ。市は支所の運営や管理に年間で約6億5千万円を支出している。大半は証明書の発行手続きなどを担当する職員の人件費。各支所の老朽化も進んでいる。

「人員の効果的な配置」という目的もある。証明書の発行は支所の中心的な業務だが、最近はコンビニでも住民票の写しを受け取れるように。支所で発行された証明書は全体の3割以下にとどまる。

「今までと同じことは続けられない」(市総務課)と、合併以来の組織体制にメスを入れた形だ。一方、支所がなくなる地域とセンターが設置される地域との間で、不公平感が生まれることになる。

関係者によると、市内では多くの自治会長が支所の廃止に強く反対しているという。また、地域への説明に出向いた市職員に対し、ある住民は「それなら合併しなければ良かった」と訴えたという。

合併から16年を経て市内の高齢化は深刻な状況。65歳以上の市民は昨年9月時点で全人口の3分の1近くに達した。高齢者にとって、遠く離れたセンターまで移動するのは大きな負担となる。

市も反対は想定外だったわけではない。今秋まで各地で意見交換会を開き、支所がなくなることへの不安や地域振興センターに求める行政サービスについて、住民から聞き取ることを予定していた。

ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で意見交換会は中止に。代替策として今月から住民の意見を募っている。市は年度内にはセンターの機能を決める方針だが、住民の理解を得る努力も必要だ。

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任期満了(11月20日)に伴う同1日告示、8日投開票の市長選に向け、市政の課題を展望する。