
【松阪】地域商社「ネーブル・ジャパン」(三重県松阪市日野町、濱岡正己社長)はこのほど、音を木の繊維構造に共振させ増幅する横濱金平さん(69)の発明を基にした音響システムのブランド「KINPEI」を立ち上げた。第1弾として樹齢約350年の神宮御山杉で音響装置を製作し、23日から東京都渋谷区で開催する「DESIGNART TOKYO 2020」(11月3日まで)で披露する。
同社は平成30年、第三銀行などが出資して発足。地域に埋もれた技術の育成と地域商材の発掘を手掛ける。これまでカフェインレス珈琲や保冷剤、ヒノキオイルの除菌スプレー、エスカルゴの缶詰を後押ししてきた。
今回は同社が事業主となった。神宮御山杉は自然倒木で、長さ3メートル26センチ、幅60センチ、厚さ6センチ。今後、尾鷲ヒノキなど名木を取り上げる予定。大手ゼネコンと木造建築の全体から音を出す構想に取り組み、県外の廃校体育館で縦横21メートル、31メートルの床を共振させる実験に成功したという。
横濱さんは同市殿町のアトリエで、一枚板の机から音を響かせながら発表会に臨み、「シンボリックに巨大な神宮御山杉の一枚板を共振させる。今までのスピーカーとの違いを感じてほしい。体で感じる音で難聴でも聞きやすい」とアピールした。
濱岡社長は「木の新しい需要をつくり、林業再生につなげたい」と意気込みを語った。
松阪市では24、25日に同市魚町の旧長谷川邸で和紙から音が出る装置を展示する。