伊勢 モルト粕活用し豚飼育 明野高生、二軒茶屋餅角屋と協力 三重

【モルト粕飼料で育てた豚の肉を手にする鈴木社長(右から2人目)と明野高生ら=伊勢市下野町の伊勢角屋麦酒下野工場で】

【伊勢】三重県伊勢市の県立明野高校生産科学科畜産部門の生徒らが、クラフトビール「伊勢角屋麦酒」を製造販売する同市の二軒茶屋餅角屋本店と協力し、ビール醸造に使った麦芽の粕(かす)「モルト粕」を活用した飼料の研究に4年間かけて取り組んだ。産業廃棄物として処理されてきたモルト粕を利用することで、環境への配慮や農家の飼料コストの削減につなげる。

同校は、県内では珍しい黒豚(バークシャー種)を肥育し、年間約百頭を出荷。2017年からブランド豚「伊勢あかりのぽーく」として地元の「伊勢屋精肉店」でのみ販売している。豚に与える飼料に工夫を加えるため、産業廃棄物にされるモルト粕に着目し、同年から飼料に活用する研究を開始した。

研究では、伊勢角屋麦酒の工場から無償提供してもらったモルト粕を、ビニール袋で密封して発酵させる処理をして豚に与え、県畜産研究所などに指導や協力を得て、肉質への影響や体重の変化、飼料コストなどを検証。体重を増加させるため、モルト粕に菓子くずも組み合わせて与えた。毎年、3年生が研究を引き継ぎ、4年に渡る活動により、モルト粕を活用することで口溶けの良い肉質になり、飼料コストも低減できることなどを確認した。

同市下野町の伊勢角屋麦酒の工場で19日、同校の3年生7人が、これまでの研究成果を発表した。報告を受けた同社の鈴木成宗社長(52)は「麦芽粕の処理には多大な労力と費用がかかり経営課題だったが、解決につながった。経済的にもSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも大きな成果を出してもらった」と感謝した。

生徒のリーダー豆原快さん(17)は「脂がさらさらしてさっぱりしたうま味のある豚肉が生産できた。地域貢献につながる研究ができよかった」と話した。

同校は今後も研究を続け、取り組みを地元の養豚業者に紹介していくという。