県立高いじめ訴訟、和解 県、初動対応誤り認め謝罪 三重

【「保身の塊の教育現場に絶望感を覚えている」などとした原告の父親のコメントを読み上げる松本弁護士=津市の三重弁護士会館で】

同級生から1年生時にいじめを受けた際、学校がいじめを認めなかったことで2年生時のいじめにつながったとして、県立高校に通っていた女性(20)が県に約180万円の損害賠償を求めた訴訟は20日、津地裁で和解が成立した。県はいじめの事実と学校側の初動対応に誤りがあったことを認め、原告側に謝罪。1年生と2年生時のいじめの因果関係を認めなかった木平芳定教育長の発言を撤回した。原告側は損害賠償請求を放棄した。

訴状などによると、女性は高校1年だった平成27年10月から、同級生らに無視されるなどのいじめに遭った。女性や女性の父親は学校に相談したが担当教諭らはいじめを認めず、女性は不登校になった。女性は2年生に進級後、登校を再開したが、同級生らにSNSで誹謗(ひぼう)中傷され、再び不登校に。原告側は学校の初動対応のミスが2年生時のいじめにつながったと主張していた。

この訴訟を巡っては、双方が和解内容に同意した後、木平教育長が9月15日の定例会見で、1年生と2年生時のいじめについて「因果関係があるわけではない」」と発言し、原告側は「原告が一番重要と考える部分であり、裏切る発言」と指摘した。今月9日の県議会教育警察常任委員会では、県教委の金児正嗣子ども安全対策監も2つのいじめの関係を否定し、原告側は県に対する不信感を募らせた。

この日、原告側代理人の松本紘明弁護士が津市中央の三重弁護士会館で会見を開き「県から教育長の発言を撤回するとの回答を得た。金児対策監の発言については『撤回できない』との回答だった」と述べた。松本弁護士は、県が教育長の発言を撤回したため、和解に至ったと説明した。

金児対策監は取材に、いじめ発生時の初動対応が「不十分だった」とし、1年生と2年生時のいじめの因果関係を認めた。その上で「いじめで原告が登校できず、十分な高校生活を送れなかったことを申し訳なく思う」と謝意を述べた。

松本弁護士によると、女性は今も「つらい思いを抱え」心療内科に通院する日々を送っているという。女性の父親は「県の関係者全員が不誠実で、それぞれが保身の塊であった教育現場に今なお絶望感を覚えている。反省がなければ改善はない」とコメントした。
◆知事「これからもサポート」
学校がいじめに適切に対応しなかったとして、元県立高校生徒の女性が県に損害賠償を求めた訴訟で、女性側との和解が成立したことを受けて、鈴木英敬知事は20日のぶら下がり会見で「和解で終了ということではなく、これからもサポートする」と述べた。

鈴木知事は和解の成立を「一つの区切りではある」としながらも「改めて元生徒の女性や保護者への思いをはせ、この和解で終了ということではなく、これから安心して人生を歩んで行けるようにサポートしていかなければならない」との見解を示した。

また、学校側の対応について「そもそもいじめが起き、生徒や保護者の思いに学校現場などが寄り添えていなかったことを重く受け止め、これから子どもたちが安心して学校生活を送っていけるように努力することを学校現場や教育委員会に求める」と述べた。