三重県議会代表質問 県の押印、原則廃止へ 行政手続き見直し、年度内にも

三重県議会は16日、三谷哲央(新政みえ、7期、桑名市・桑名郡選出)、津田健児(自民党県議団、5期、四日市市)、谷川孝栄(草莽、3期、熊野市・南牟婁郡)、野村保夫(自民党、2期、鳥羽市)の4議員が代表質問した。県は庁内の行政手続きについて、原則として押印を廃止する方向で見直しを進める方針を示した。このうち、県が独自に押印を求めている約300件の手続きは、早ければ年度内にも廃止する方針。鈴木英敬知事が谷川議員への答弁で明らかにした。
◆知事の国政転出を問う ― 三谷哲央議員(新政みえ)
国政転出がうわさされる鈴木知事に対して「国政に心を動かすことなく、県民との約束を仕上げるべき」と指摘し、その去就を尋ねた。鈴木知事は「知事選で与えていただいた任期を全うすべく、引き続き職責を果たす」と答弁した。

【国政転出】
三谷議員 知事の国政転出は世間で既定路線だが、新型コロナ対策は道半ば。知事の責任は感染症対策条例の制定や対策の強化で県民の命と生活を守ることにある。国政に心を動かすことなく、県民との約束を仕上げるべき。

知事 われわれは人類史に残る深刻な課題に直面している。県民の命と健康はもちろん、経済活動とも両立させなければならない。開催まで1年を切った国体の準備など、喫緊の課題もある。知事選で与えていただいた任期を全うすべく、引き続き職責を果たす。

【県立大学】
三谷議員 県立大学を設置する是非を検討するそうだが、筋が違う。大学は学術を高めることが目的。過度な一極集中の是正や地方創生は副次的効果で、設置の目的にはなり得ないが、何を目的に県立大学を設置したいのか。

知事 高校卒業生の大学進学者に占める大学定員数の割合は39・6%で、いわば全国最下位レベルにとどまり、教育施策上の課題。学びの選択肢が拡大することは多くの若者にとってチャンス。生まれ育った地域で夢を実現できるよう、設置の是非を検討したい。
◆引きこもり実態調査を ― 津田 健児議員(自民党県議団)
鈴木知事は県内で引きこもりの実態調査を実施すると明らかにした。外部の有識者などでつくる検討委員会をを立ち上げるなどして調査に効果的な手法を検討した上で、来年度中に調査を実施する方針。

【引きこもり】
津田議員 誰一人取り残さない引きこもり支援のため、まずは引きこもりの実態調査を実施してほしい。引きこもりに特化した推進計画を作り、それを推し進めるための体制を整えることを求める。

知事 引きこもりに特化した推進計画を策定し、来年度中に具体的な目標や取り組みを示す。計画を実効性のあるものにするため、実態調査を実施する。計画の進捗(しんちょく)を管理する庁内体制を検討し、令和4年度から新たな計画に基づく対策に取り組む。

【財政】
津田議員 県は財政的に厳しく、コロナ禍の対応に使える予算が他県と比べて少なかった。これからコロナに対応しながら県債管理基金の不足分を積み立てなければならず、厳しい財政状況が続く。現状認識と今後の見通しは。

稲垣副知事 歳出を厳しく精査し、歳入では新たな財源の確保に取り組んでいるが、財源不足が生じている。やむを得ず県債管理基金への積立金の計上を見送ることで対応している。県債管理基金の積み立て不足を解消した後は、財政調整基金の残高を確保しなければならない。
◆高速道路、整備早急に ― 谷川 孝栄議員(草莽)
県議会が国土強靱(きょうじん)化の継続を求める意見書を可決したことなどを踏まえて「国土強靱化は県民の総意」と主張。水野宏治県土整備部長は「強靱で信頼性の高い道路ネットワークを整備する」とし、紀勢線の整備や菰野バイパスの用地取得などに努める考えを示した。

【デジタル化】
谷川議員 菅総理はデジタル化や規制改革を掲げ、書面や押印、対面主義の見直しを抜本的に進める。県もスマート改革を進める方針で、内閣府規制改革推進室やデジタル庁に職員を派遣している。国の改革に対する知事の期待は。

知事 国の動きを踏まえてスマート改革を発展させて、スピード感を持って進める。約3千の行政手続きに係る押印は原則廃止に向けて進める。このうち県独自の手続きで押印を求めている約300件は年内に見直しの方向性をまとめ、できるものから廃止する。

【国土強靱化】
谷川議員 県民の総意である国土強靱化対策を論じる上で、道路は防災減災の観点から背骨となる。特に高速道路のほか、市街地や観光地を結ぶアクセス道路は早急な整備が求められている。道路整備に対する県土整備部長の考えは。

水野県土整備部長 頻発化、激甚化する災害への対策が必要。特に高速道路や主要幹線道路は、ミッシングリンク(未整備区間)の解消や4車線化を早期に進めなければならない。「防災道の駅」の整備やAIを用いたモニタリングも重要だと考える。
◆島サミット準備状況は ― 野村 保夫議員(自民党)
志摩市で来年中に開かれる予定の「第9回太平洋・島サミット」について具体的な準備の現状を尋ねた。県は開催に向けた機運を醸成するため、15日にSNS(会員制交流サイト)で公式アカウントを立ち上げたと紹介した。

【太平洋・島サミット】
野村議員 太平洋・島サミットの開催日程は、政府からいまだに明らかにされていない。令和3年を間近に控え、無事に開催できるのか心配している。開催時期が見通せない中、県としてどのように準備を進めるのか。

島上雇用経済部長 開催機運の醸成、三重の魅力発信と地域経済の回復、島しょ国との交流、ブランド力の向上を基本方針に掲げ、みえ太平洋・島サミット推進会議と連携して事業を進める。新たな機運を醸成するため新たにSNSの公式アカウントを立ち上げた。

【空飛ぶクルマ】
野村議員 次世代の移動手段として期待される空飛ぶクルマは、さまざまな分野で活用できる。感染リスクが懸念される中、無人化や非接触、非対面による物の輸送は離島や過疎地域にとって安全と安心につながる。

島上部長 昨年度の実証実験で、空飛ぶクルマを物流面で事業化するにはコスト削減が必要だということが明らかになった。本年度は接触機会の低減や医療と物流の連携も模索し、さらなる課題の抽出や事業性の向上に取り組む。
<記者席>本心はマスクの下
○…国政転出が目される鈴木知事に職責を果たすよう訴えた三谷議員。岡田克也衆院議員の元秘書として、三重3区への立候補がうわさされる「対抗馬」を〝けん制〟した形だが、知事は「任期を全うする」と、これまで通りの答弁。

○…三谷議員は「11月29日の地震津波対策のシンポジウムでは知事の冒頭あいさつが予定されている。私も出席して間違いなく聞かせてもらう」と念押し。知事は深くうなずいたが、マスクで表情はうかがえず。さて本心は?

○…一方、知事を厳しく追及した三谷議員に「私もいじめられる」と語った津田議員だが、父で元県議会議長の勉氏と共に「なぜ自民党ではないのか」と三谷議員を追及した過去を明かした。

○…勉氏と三谷議員は故山本幸雄衆院議員の元秘書。山本氏は防戦一方の三谷議員に「自分が正しいと思うことを信じてやりなさい」と諭したという。議場にいた三谷議員の心中やいかに。