志摩市長選<市政の課題・上>マリンスポーツ客激減 新型ウイルス影響

【新型コロナウイルスの影響について振り返る坂本さん=志摩市の志摩自然学校シーカヤック発着場で】

任期満了(30日)に伴う志摩市長選が11日告示、18日投開票される。新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国的に生活のあり方に変化が求められる中、同地域での課題を探った。

「春は全滅。夏休みを含めた6―8月の3カ月間も前年より6割程度客足が落ちた」。シーカヤックなど各種マリンスポーツの体験ツアーで知られる志摩自然学校(大王町波切)で運営企画マネージャー兼インストラクターを務める坂本一也さん(58)は語る。

新型コロナの感染症拡大に伴う緊急事態宣言により、同校では4、5月の営業を休止した。営業再開後も県境をまたぐ移動自粛などの影響が響き、繁忙期の夏休みシーズンの利用は激減した。

同市観光課によると、新型コロナの影響で、夏期期間(7月18日―8月31日)の市内18カ所の観光施設の入込み客数は対前年比40・4%減の28万5107人。市内23カ所の宿泊施設での宿泊者数も同49・0%減の9万8241人、市内5カ所の海水浴場の利用者数も同11・6%減の4万9220人と、軒並み減少した。

同校は市営施設として16年前に設立。現在は市から委託を受けた一般社団法人「志摩ネイチャー倶楽部」が運営し、フリーのインストラクターが個人事業主として契約する形を取っている。施設からの固定給は発生しないため、利用客がなければその間インストラクターの収入はゼロとなる。同施設では現在5人が専属契約しているが、4―8月の収入は例年の3割ほどだったため、漁師の手伝いなど日雇いの仕事を探して生活費をかせいだ。

一方、夏の終わりから秋にかけて明るい兆しも見え始めている。桑名や鈴鹿など北勢市町の小中学校がコロナへの警戒から秋以降の修学旅行先を県外から県内へと変更。「3密」を避ける風潮から、屋外アクティビティを主軸とした体験型施設が注目を浴び始めた。

伊勢志摩コンベンション機構による誘致の働きかけや県による県南地域への体験教育旅行への補助金も後押しとなり、同校にも予約が殺到。9―11月だけで例年の倍以上に当たる130校約1万3千人の予約が入った。このうち約8割が県内の予約という。

トリップアドバイザー社が公表した今年の「秋の日本人旅行者による国内行先トップ10」の中で志摩市は3位に入ったという。

坂本さんは「今年だけの特例として理解している。アピールできた部分を継続的な自然体験学習につなげることが重要」とする一方、「現在の雇用のあり方を考えないと難しい」と語る。

利用客がなく給料が発生しない状況でも施設の維持管理には経費や人の手が必要となるが、市からの予算は年々削減されているという。「今は義理と人情で維持している状況。観光誘客に向けて今の形を維持するためにも人材確保は必要」と危機感を強める。