
【多気郡】三重県の斎宮歴史博物館はこのほど、明和町竹川の同館特別展示室で国史跡斎宮跡発掘50周年記念特別展「斎宮と古代国家―飛鳥・奈良時代の斎宮を探る―」(伊勢新聞社後援)を始めた。会期は11月23日まで。
斎王は未婚の皇族女性で、古代から中世にかけて天皇に代わって伊勢神宮に仕えた。斎宮は斎王の宮殿で国家祭祀の拠点。
発掘調査は昭和45年、宅地造成計画をきっかけに都で見つかる「蹄脚硯(ていきゃくけん)」が出土して始まった。東西約2キロ、南北約700メートルが国の史跡に指定され、最盛期だった平安時代には碁盤目状の方格街区が形成されていたと分かった。
同館は「斎宮の成立を把握せずには斎宮を語れない」として、近年は最初期の史跡西部で集中的に発掘を進めている。堀立柱塀がつくる方形区画と門や建物が見つかり、斎王の宮殿の可能性を含め飛鳥時代の斎宮解明への期待が高まっている。現在は第199次発掘調査を実施している。
特別展では最新の発掘成果を中心に「斎宮成立の背景」「斎宮の成立 飛鳥時代」「斎王制度の整備 奈良時代」「方格街区の形成 平安時代」の4章構成。約380点を出品している。
学芸普及課の天野秀昭主幹は「毎年2、3次の発掘調査をしている。発掘50年を網羅的というより、近年解明の進む飛鳥・奈良時代にスポットを当て紹介している」と来場を呼び掛けている。
学芸員の展示説明会は10月31日、11月14日のそれぞれ午後2時から。11月21日には同館南約500メートルの発掘調査現場を公開する。いずれも申し込み不要。
観覧料は一般400円、大学生320円、高校生以下無料。展示図録(税込み1500円)では論考「考古学からみた伊勢神宮と斎宮の成立過程」や斎宮跡調査研究指導委員座長の渡辺寛皇學館大学名誉教授のインタビューを載せている。