三重県議会一般質問 一部漁協に「報償費」 県土整備部「長年の習慣」

三重県議会9月定例月会議は30日、今井智広(公明党、4期、津市選出)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)、中瀬古初美(新政みえ、2期、松阪市)、小林正人(自民党県議団、4期、鈴鹿市)、藤根正典(新政みえ、3期、熊野市・南牟婁郡)の5議員が一般質問した。県当局は公共工事の立ち会いに伴う「報償費」を一部地域の漁協に限って支払っていると明らかにした。県土整備部の真弓明光理事は「長年の慣習」との認識を示し、立ち会いのあり方を検討すると説明した。稲森議員への答弁。
◆安全運転補助の実績は ― 今井 智広議員(公明党)
ペダルの踏み間違いによる交通事故を防ぐ装置の購入設置費を県と市町が補助する事業の実績を尋ねた。県当局は事業を開始した4月から8月末までの間に、259台の購入設置費を補助したことを明らかにした。

【高齢運転者】
今井議員 県は高齢運転者に後付けの安全装置を付けてもらう事業を1800万円の予算を付けて始めた。参加している市町はどれくらいあるのか。補助金の交付実績は。
岡村環境生活部長 12市町が実施し、補助台数の実績は8月末時点で計259台。今後の申請分も含めると、市町からは約1600万円の要望があり、さらに追加要望の問い合わせもある。年度内に1800台の購入を補助できると見込んでいる。1台でも多く装置を設置してもらえるよう努める。

【暑さ対策】
今井議員 県は防災対策でビニールハウスを補強している。今年の夏は特に暑かった。環境を考えると、暑さ対策に着目して継続した新しい支援が必要ではないか。

前田農林水産部長 県は夏場の暑さ対策として、ハウス内の十分な換気、太陽光の軽減、暑い時期を避けた栽培時期の変更などを助言している。対策を励行し、新規就農者も適切に対策できるよう、新たに暑さ対策の栽培技術マニュアルを策定し、マニュアルの普及に取り組む。
◆桑員漁協事件を追及 ― 稲森 稔尚(草の根運動いが)
桑員河川漁協の組合長が協力金を脅し取ったとされる事件は「県が協力金の支払いに見て見ぬふりを続けたからだ」と追及。県当局は不当要求が発生した場合の体制のあり方などを検討していると説明した。

【協力金】
稲森議員 内水面漁協に協力金を支払うと同意する内部文書を建設会社から入手した。「請負額の千分の一でお願いします」と書かれ、公共工事の金額と協力金が連動している。任意を装った金品の要求は極めて不適切。見解は。

真弓県土整備部理事 捜査の状況を踏まえ、不当要求防止の取り組みを段階的に検討する。発注者として不当要求が発生した場合の体制のあり方などについて検討を進めている。文書の存在は把握していないが、不当要求を根絶する取り組みを検討する。

【報償費】
稲森議員 県が河川の公共工事に立ち会ってもらうため、内水面漁協に報償費を支払う慣例が特定の地域に限って残されている。なぜ特定の地域だけに支払う必要があるのか。支払いの実績と根拠を知りたい。廃止すべきでは。

真弓理事 伊賀地域では工事に際して内水面漁協に立ち会いを要請している。令和元年度の支払いは総額で81万8600円。今後の取り扱いは関係者の意見を聞いて検討する。長年続いた慣習だが、いきなり廃止ではなく、十分に関係者と意見交換をしたい。
◆不登校相談、機関連携を ― 中瀬古 初美議員(新政みえ)
不登校の児童生徒を相談機関につなぐスクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の必要性を強調。県教委はSCやSSWが相談機関とつながっていない児童生徒の家庭を訪問していると説明した。

【不登校対策】
中瀬古議員 不登校の児童を将来ひきこもりの状態にしないために、在学中から福祉機関につなぐSCやSSWによる支援が必要。どの機関にもつながっていない子はどれくらいいるのか。

木平教育長 平成30年度に90日以上欠席し、どの相談機関ともつながっていない児童生徒が不登校の児童生徒全体の14・4%いる。児童生徒を支援するため、本年度から訪問型の支援を始めた。SCやSSWが30人程度を対象に家庭を訪問して支援する。

【ヤングケアラー】
中瀬古議員 慢性的な病気や障害のある親、幼い兄弟の世話をする「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちが存在する。国内の高校生に相当数いるのは確実とされる。県内の実態把握が必要では。

大橋子ども・福祉部長 ヤングケアラーが存在し、健やかな成長や生活への影響からネグレクトや心理的虐待に至る場合があると認識している。あらためて関係者に周知し、児童相談所が構成員として参加する要保護児童対策地域協議会でのアセスメントによる実態把握に努める。
◆保健師の年齢緩和を ― 小林 正人議員(自民党県議団)
保健師の年齢層に偏りがあると指摘し、現状は22―29歳までの採用試験の年齢制限を緩和するよう求めた。県当局は薬剤師の採用で年齢制限を緩和した例を参考に検討する考えを示した。

【採用】
小林議員 内定をもらったのにコロナ禍で採用されなかったことが多々あるようだ。経営が厳しくなれば採用が抑制されるが、どう対応するのか。次年度以降はさらに厳しくなる見通しの新卒の採用も、どうフォローするのか。

島上雇用経済部長 今後も雇用情勢の悪化が懸念される。県はオンライン面接に不慣れな若者を支援しているほか、学生と企業の交流を確保する説明会も開いている。雇用調整助成金の相談窓口も開設した。就職と雇用の継続を最優先に取り組みたい。

【保健師】
小林議員 平常時でも保健師の確保を図る必要がある。現場の状況を聞くと、30―40代の中堅職員が少なく、なかなか育成ができない状況となっている。職場の環境改善に加え、採用する年齢の幅も段階的に広げてはどうか。

加太医療保健部長 計画的で継続的に保健師を採用する必要があるが、近年の受験者数は少ない状況。薬剤師の採用で効果が上がった例を参考にしながら、受験者の年齢上限を引き上げる検討を進めたい。保健師の確保に努め、保健所の強化を図りたい。
◆人権侵害への対応は ― 藤根 正典議員(新政みえ)
新型コロナウイルスの感染者や家族への人権侵害を問題視し、県の対応状況を尋ねた。県当局はインターネット上の差別的な書き込みを監視した結果、4―8月に224件の不適切な書き込みを確認したと明らかにした。

【人権侵害】
藤根議員 新型コロナの感染拡大で目に見えないウイルスとの戦いが始まり、感染者や家族への中傷、個人情報の無断掲載、医療従事者への心ない差別などが問題になっている。県民の不安を払拭(ふっしょく)するための取り組み状況は。

岡村環境生活部長 重大な人権侵害で絶対に許されない。4月末から県人権センターの相談窓口の対応を土日祝日まで拡大し、相談体制を強化した。ネット掲示板などの差別的な書き込みを監視し、削除を要請している。

【地滑り対策】
藤根議員 紀宝町浅里地区で山麓の地滑りが非常に危険。本年度に調査し、来年度に対策工事をする予定だったが、大雨で地滑りが進行している。現状認識と具体的な対策は。

前田農林水産部長 6月に地盤伸縮計を設置し、急激な動きを感知した場合、住民に危険を周知する体制を整備した。7月の豪雨で急激な動きが確認されたため、地下水を排水する応急対応工事を7月21日から実施し、おおむね抑制できた。対策工事に必要な予算を確保し、予定を前倒しして年度内に着手する。
<記者席>キャリア奔走、職員奮起を
○…稲森議員は県民参加型予算を担当した富永隼行前財政課長の写真を提示。「県民投票の呼び掛けに奔走する姿を見てすごいと思った」とたたえ、県職員らにも奮起を促した。

○…富永氏は財務省のキャリアで現在は同省主計局で勤務している。本紙の愛読者で、現在も霞が関で購読中。この「記者席」を読んだら「三重に帰りたい」と思うに違いない。

○…中瀬古議員は新型コロナウイルス感染症の対応に当たる保健所の職員を、豪雨で被災した熊本県に派遣したことについて「時間をかけて判断すべきだったのでは」と疑問視。

○…鈴木知事は「7月6日に派遣要請があり、8日に派遣を決定した。県内では第2波に入る前だった」と時系列に細部まで説明。感染症対策のアクリル板越しに火花を散らしたか。